54.テンプレ的に、デビットカード社会で驚く俺。
シンジ君、幼女のシステムにおののくの巻。
金貨が一か所に留まれば、酷いデフレになりますからねえ。
景気の「気」は「気分」の「気」です。(マジ)
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11月10日多忙のため1回休みます。
翌日、シンジは冒険者ギルドに向かった。
朝、男爵家の人々は非常に心配していたが、昨日はアンリと神殿から帰ってすぐ寝た記憶しかない。朝の目覚めはすっきりしていたので、特に問題はないだろう。シンジは不思議だった。
「俺、何かやったっけなあ?」
そう言えば、何か筋肉が迫ってきたような? 何か不思議な?
「いや、何も思い出さないという事は、特に大事なことではなかったんだろう。うん、きっとそうだ。気にしたら負けだよな」
シンジは、心の箱にきっちり蓋をした。
色々考えているうちに、冒険者ギルドに到着した。
「たのもー」
「あ、シンジさん。いらっしゃい」
いつものようにジュリアさんが出迎えてくれた。
「清算終わっていますので、カードをお出しください」
ジュリアにカードを渡すと、奥へと引っ込み、しばらく待つと戻ってきた。
「あ、変わってる」
戻されたカードが、金色になっていた。
「ええ、シングルゴールド昇格おめでとうございます」
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名前 :シンジ
ランク
総合評価:シングルゴールド級
討伐 B-
採取 A-
護衛 G-
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預金 :7G/8sG/8bS/3S
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「ほむ、この『預金』というのは?」
「こちらはカードの機能で、ギルドの口座が作られています。大金を持ち歩くのは危険ですので」
これのおかげで200年前から強盗はほとんど出なくなったという。
「一番喜んだのは商業ギルドでしたが」
「それはそうだろうねえ」
何でも、ある領地で新商品を生み出して栄えていた商人が一族ごと殺されて金を奪われた際に、その夜盗が実は領主の手先で、天罰が下されたらしい。その後、創造神から冒険者ギルドと商業ギルドに、このカードシステムがもたらされたそうだ。
「……その新商品って?」
「商人とともに作り方も全て灰になったそうで、今は残っていません。何でも、白色の画期的な調味料だったとの事ですが」
「あー、何となくわかった」
どこかで聞いたような話である。その商家は、間違いなく転生者だったのだろう。テンプレの反動に耐えられなかったのだろうか。シンジにとっては他人事ではない。
「話が逸れました。この金額は、先日シンジさんが採取した薬草関係の清算分となります。ギルドの口座に登録されていますので、お店での支払いも今後はこのカードで可能になります」
「ファンタジーでまさかのデビットカードッ!?」
「もしシンジさんが商業ギルドやその他のギルドに登録されたときには、このカードに機能が統一されます」
「便利だねえ。あ、紛失の際にはどうなるの?」
「基本的に預金はすべて没収ですね。もちろん、本人確認が取れた場合は半額が戻ってきます」
「それどこの復活システムッ!?」
ジュリアが頬に手を当てながら話し始めた。
「このカードのおかげで、商人たちは大きな金額を持ち歩く必要もなく、商材の仕入れが出来るようになりました。他人がカードを奪っても使えませんので。おかげで、金貨以上に経済取引が活発になったので、商売の範囲も広がったのです」
以前も説明した通り、この世界の貨幣は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、小金貨、金貨と続く。定番通りならば、大金貨、ミスリル貨などと続きそうなものである。が、実際には存在しない。
なぜ大金貨が無いかと言えば、金貨1枚の重量で1000万を担保するのが難しいからだ。基本この世界は金本位制になっていて、貨幣そのものの価値がそのまま通貨として使われるのだ。ミスリル貨が無いのは、武器に使われることと、貨幣のような一定の形にするのは、ドワーフ以外に無理だからである。自国で硬貨が発行できないイコール他国に経済を握られるということになり、結果ミスリルの硬貨は造られない。
だが、それでは経済規模が金の物理的な量に縛られる事になってしまう。経済発展が起こらない。
そこで幼女は考えたのだろう。『金がなければ、信用があればいいじゃない』と。
そのため、高額取引にはギルドのカードが用いられる。このカードシステム自体が創造神の創ったもので、カード預金や預金の移行も出来るという優れもの。信用取引が可能になれば、経済規模は大きくできるという事だ。
ゆえに、この世界では大概の人が何らかのギルドに入り、ギルドカードを所持している。結果的に、このカードさえあれば、財布にも身分証明にもなるという便利なカードに発展したのだ
(何たるテンプレ。やるじゃん幼女)
そうシンジが考えてしまうのも無理ない事なのだ。
「まいっか。カードありがとね。じゃあ、俺は素材提出所に行ってくるよ」
「えッ!? シンジさん、また何か採って来たんですかッ!!?」
ジュリアが恐れおののいた。無理もあるまい。シンジは実績があり過ぎる。
「違う違う。以前狩ったオークを出してくるの」
ジュリアはあからさまにホッとしたようだ。
「それなら大丈夫ですね。いってらっしゃいませ」
ジュリアの礼を背に、シンジは素材買取所に向かった。
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