52.テンプレ的に、幼女を小一時間ほど問い詰めたい俺。
シンジ君、事案発生に遭遇するの巻。
幼女に踏まれたい人(ry)
「5日ぶりじゃのう、シンジ」
そこには、椅子に座り、偉そうに足を組んでフレディを踏みつける幼女の姿があった。
機嫌よさそうに満面の笑みを浮かべている。
……事案発生極まりない図だ。
「そのまんま再現してんじゃねーよッ!?」
その声に反応したのか、フレディがビクンッ、ビクンッと大きく震える。
すると幼女は、彼の背中を一層力を込めて踏みつけた。
「はあぅぅ~~ッ!」
フレディは、謎の叫びをあげ、四つん這いの姿に固まったまま横に転がった。
その背中には、くっきりと幼女の足形が残っていた。
「フレディよ。よくぞ使徒たるシンジをこの場まで導いた。褒めて遣わす」
「きょう、恐悦、至極に、ござ、います……ッ!」
フレディさんが、スパッと土下座の姿勢になり、顔だけ上げて偉そうに座ったままの幼女を見つめる。その表情は、息も絶え絶えに恍惚としたまま、滂沱の涙を流している。
神と人の邂逅というと、とても素晴らしい情景に思えるが、目の前の絵面は地獄である。
「その聖痕は褒美である。今後は直に目通りを許す。シンジが戻るまで待って居れ」
「ははあっ!!」
フレディさんは深々と頭を下げた土下座の姿勢のまま、姿を消した。もちろん背中に幼女の足跡を黒々と付けたまま。
「おい、あれ、そのままでいいのか?」
「ああ、聖痕か?」
「どうして足跡が聖痕になるんだよッ!?」
そこで、幼女が遠い目をした。
「いや、あそこの初代がそういう趣味でな」
「聞きたくなかった! そんな業の深い宗教伝説ッ!!」
「ということで、はっぱ踏み踏み?」
「そっちの踏み踏みッ!!?」
「気にしたらハゲるぞ」
「シャレにならんことを言うなッ!!」
シンジは思わず髪の毛を抑えた。創造神にハゲるぞとか言われるなど、真面目に怖すぎる。
「天の声にも変な声がたまにはある」
「お前は変な声しか出さんだろーがッ!!」
◇
「いや、たかが5日だというのに、これだけのテンプレを達成するとは、さすがは儂が見込んだ男だけはある」
「好きで達成した……ものもあるけど、不可抗力が多いぞ」
「まあ、茶でも用意しよう」
幼女は指を鳴らし、その音に満足したのかうんうんとうなずいている。
最初と同じように、椅子と机、そして紅茶が出てきた。
二人で同時に口をつける。
「お?」
最初に飲んだあの紅茶より良い香りと味がした。
幼女が笑みを浮かべる。
「良い音がすると、味が良くなるようにしておるのでな」
「へー、じゃあ、鳴らすのに失敗すると?」
「致死毒になる」
「まさかの指パチロシアンルーレット!?」
幼女がうんうんと重々しくうなずく。
「薬指の使い方にコツがあると気付くまでに、1万年かかったのじゃ」
「そんなに長期修行ッ!?」
幼女は、くっくっく、と忍び笑いを漏らす。
「お主が来てから、この『界』も楽しくなったのう」
「ストーカー乙」
「いやあ、あのギルマスとのやり取りが面白くてのう。いいぞもっとやれ?」
「俺が困るのが楽しいかッ!?」
腹を抱えて笑う幼女。
「いやいや、ここ1万年で一番笑った番組じゃった」
「番組扱い!?」
シンジとしても、そんなことをツッコミに来たんじゃない。本題に入ろう。
「なあ、いくつか聞きたいんだが」
「答えられることは答えよう。笑いの礼じゃ」
幼女が軽く受けてくれる。
「まず、この世界ってお前の他に神居ないの?」
「ああ、儂の趣味で創ったような『界』じゃからの。儂ひとりじゃ」
「それであのカードシステム創れたのか? 手は回るのか?」
「まあ一応はな。自動で登録したり、監視したり、そういう代理神みたいなシステムは備えておる。まあ、BOTみたいなもんじゃな」
「代理神をBOT言うなし」
そんなことはどうでも良い。もっと聞かなければいけないことがあった。
「なあ、お前アイリスさんや伯爵令嬢の因果律いじったか?」
出会いの確率が、偶然にしてはピタリとはまり過ぎている。
「儂は直接絡んでおらんよ。それは逆に考えるべきことだな。お主が行ったから、因果が動いた。もしくは、そうあれかしと判断したのだろう。BOTが」
「だからBOT言うなし」
ありがたみがまるで無い。
「じゃあ別の件。テンプレの中で反動が起こるものと起こらないものがあるよな?」
幼女がニヤリと笑った。
「ほう、気づいたか。それで?」
こちらに続きを促してくる。
「その起こる条件、何か特定のものがありそうだよな? それは何だ?」
「君のような勘のいいガキは……好きだよ」
「好きなんかいッ!?」
幼女は、急に真面目な顔になる。
「すまんがそれを直接教えることは出来ん。自分で気が付くなら話は別だが」
「なぜだ?」
「そのこと自体が、文明の発展に関わるからだ。儂から答えを教えるのは、言わば禁忌に触れるようなものなのだ」
再び幼女がニヤリと笑う。
「実力テストでカンニングをしてもつまらないだろう?」
「ふーん、そういうこと。つまり、反動が起きるには、明かせないけど明確な秘密があるってことね?」
「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
「天丼な上にどっちだよっ!?」
「大人には秘密があるってことだ」
「お前幼女だろうがッ!!」
幼女が、再び真面目な顔に戻る。
「まあ、少なくとも、救える者は救ってやるがいい。お主はそれだけの力を『ちゅうとりある』で付けているし、それで判ることもあるじゃろ」
「ほむ、そのセリフがヒントになっている気がするがな。まあいいや」
これ以上ヒントになる事を話す気はないだろう。
「あと気になったのは、……そうそう、チュートリアルで培った力は、現実世界だと半分くらいか?」
「まあそんなもんじゃな。初めから無双というのもテンプレで良いが、成長の余地があった方が楽しいじゃろ?」
その感覚は分からないでもない。生死に関わらなければだが。
「それに、中途リアルじゃからな。得られた力も中途というのがスジというものじゃろ?」
「シャレに命掛けたくないんですけどねえッ!!」
本当にふざけた幼女である。
「それと、俺が『使徒』だって明かしてよかったのか?」
「ああ、神殿の者にだけだ。それは既に通達している」
幼女が、椅子から跳ぶように降りた。
「お主はこれから様々な『テンプレ』を引き起こすし、巻き込まれるじゃろ。その際に間違って神殿と対立すれば、磔か火あぶりになるからな。それを防ぐためじゃ」
「なんちゅう恐ろしいことを……」
心の底から恐ろしい。
「かと言って、表に出し過ぎれば、崇められる存在になって身動き出来なくなるからな。神殿の上層部以外には情報を出さん。それでいいじゃろ?」
「ああ、それはありがたく思っておくよ」
シンジとしては、せっかく元の世界から解き放たれたのだ。自由にやりたい思いが強い。何しろ元の世界では。
そこまで考えていたら、急にシンジの体が光りだした。
「時間切れの様じゃな」
「まあ、頑張らせてもらうわ」
「次の番組を楽しみにしておるぞ」
「番組じゃねーよッ!」
「この『界』も捨てたもんじゃないじゃろ? 存分に楽しむがよい」
幼女が笑って手を振る。
「ああ、そうさせてもらうわ。地球よりずっと楽しいわ」
「それは良かったのう。儂も呼んだ甲斐があるわ」
「ああ、じゃ、またな」
次の瞬間、またシンジは白い光に包まれた。
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え? 押す気はないって、まさか趣味人なんですか……? (; ・`д・´)ゴクリ(マテ)




