51.テンプレ的に、神殿で儀式を視てしまう俺。
シンジ君、法悦の意味を知るの巻。
最近、シンジ君がボケばかりで、ツッコミが足りないと思った貴方! お待たせしましたッ!!(マテ)
伯爵様との面会をセッティングするのには、やはり時間が掛かるようで、今日は1日フリーになった。
だが、朝から冒険者ギルドに行っても、まだ清算が終わっているとは思えなかった。昨日が昨日だったので。
そこでシンジは、ずーっと気になっていた神殿を訪問することにした。
「じゃあ、今日は私が付き合いますよ。非番ですし」
アンリのありがたい申し出により、ふたりで馬車に乗り、神殿に向かった。すぐに貴族街側の入口に到着する。
神殿の入口に立つ衛兵が、馬車の紋章を見て、すぐに対応してきた。
「これはアンリ卿、本日はどのようなご用件で?」
「うん、先ぶれなしで申し訳ない。今日は、こちらのシンジ殿を神殿に案内しに来たんだ。すぐに神官へ連絡してくれるかな」
畏まりましたと衛兵がひとり奥へと走った。
「アンリさん、良いんですかね? 俺、ただの一般人なのにこんな対応してもらっちゃって」
「シンジさんも叙爵されたら、こういう対応に慣れないといけませんからね。練習だと思えばいいんですよ」
思ったより貴族の壁は厚いようだとシンジは思った。
そうこうしていると、神官らしき衣装を着た若い男が駆けつけてきた。
「ご案内いたします。こちらへどうぞ」
シンジとアンリは、招かれるまま神殿に入った。
◇
通された拝殿は、貴族だけの特別なものではなく、一般臣民も普通に参拝している。神官が言うには、入口のみ混乱や貴族の安全確保のために分けているとの事だ。また、非常時には一般臣民をここから内城壁へ入れて安全を確保するらしい。
そこにある神像は、まさに万人がイメージする女神そのものの姿だ。手を組み、祈りのポーズをした女神像。ギリシャ彫刻のように、トーガのような布を体に巻き付け、ボンキュッボンでアハーンな女神像だった。辛うじて、髪型だけが幼女と一緒だ。
それを見て、シンジは思わず。
「盛ってやがる……」
と、呟いてしまった。
そこへ、近づいてくる人物がいた。
「アンリ卿、お久しぶりですな」
「神殿長、ご無沙汰しております」
白髭に四角い神官帽を被り、左手に神官杖を持った長身の老人が、背筋を伸ばし、微笑みながら右手を挙げて挨拶してきた。
「本日は、……おや、その隣の方は?」
「紹介します。冒険者のシンジさんです」
シンジも挨拶し、一礼する。
「おお、貴方がシンジ殿ですか。お噂はかねがね」
どんなうわさを聞いているのだろうか。シンジはひっじょーに気になった。神殿の偉い人に流れる噂だ、ヤバい気しかしない。
「私がこの神殿の神殿長をしております、フレディ=ハワードと申します」
柔らかい雰囲気だが、なかなか威厳が溢れている。
性を持っているということは、貴族に連なる身分なのだろうか。
「神殿長様、とお呼びしても?」
「フレディ、で結構ですよ」
ニコニコしながら鷹揚に答えるフレディ。
「フレディ様は、非常に徳の高い御方で、神からお言葉を賜れるほどのお力をお持ちです」
アンリの説明が続く。
この街では、神官と領主が協力しあって治安を守っているらしい。テンプレでは、神殿と領主は仲が悪い方が多いものだが、ここではそのようなことはないらしい。幼女が力を及ぼすのに、領主権力側と仲が悪いのはやり辛いからだろうが、とシンジは思った。
(待てよ? 神の言葉ってことは、幼女の言葉?)
幼女の言葉を聞いて従っちゃう大人というと、非常に聞こえが悪いのだが。
「さて、シンジ殿。私がここへ来たのは、貴方をご案内するためです」
突然、そう神殿長から告げられた。それを聞いた若い神官が、驚いた顔をする。
「アンリ卿、シンジ殿をお借りしてよろしいですかな?」
アンリも突然呼びかけられ、少々混乱した。
「え? またシンジさん、何かやったんですか? 神殿で私が知らないうちに?」
「またって何さ、またってー」
「アンリ卿、しばらく奥でお休みください。それほど時間はかからないと思います。さ、お前はお茶の準備をするように」
若い神官に準備を言い聞かせ、有無を言わさずアンリを連れて行かせた。それを黙って見送るシンジと神殿長。
しかし、この伯爵領で総騎士隊長であるはずのアンリも、神殿長の言う事に従うしかないとは、この人物の権威は相当高いものなのだろう。
アンリと神官の姿が見えなくなると、フレディはシンジに向き直り、声を掛けてきた。
「シンジ殿には、私と一緒に神の間に行っていただきます」
「神の間?」
聞きなれない単語に戸惑うシンジに、着いてくるよう促しながら、フレディが説明を始めた。
神の間とは、特別な神の像が祭られている部屋らしい。
この神殿には、一般の信者が参拝する拝殿と、秘像として神殿に関わる者か、特別な場合のみ使われる神の間のふたつが存在するらしい。
先ほどシンジたちが行ったのは、もちろん一般向けの拝殿だ。
「こちらが神の間です」
フレディとシンジは、神殿の奥深くにある部屋の前に着いた。
神殿らしい真っ白な壁には、白木で観音開きの扉が付いていた。フレディが、その扉を押し開ける。
そこには、真っ白な部屋と、奥に祭壇があった。祭壇の奥には、大理石で削り出されたような幼女の姿。
足を組んで、偉そうに玉座のような椅子に座っている像だ。何ともあの幼女らしい。
「あ、こっちはそのままだ」
「やはり、あなた様は創造神テプレーナ様にお会いになったことがあるのですね」
「フレディ様も?」
フレディは、首を横に振った。
「いえ、私はまだそこまで修行と徳を積んでおりません。現在では総本神殿の総祭司長様と祭司枢機卿様方、この国も含めた数か国の本神殿総祭司長様のみが、直接お目にかかったことがあるそうです」
どうやら、直接幼女に会った者が枢機卿になれるシステムらしい。さらに、各分神殿の祭司長になれる者の資格は、神の啓示が聞こえることだそうだ。
元の世界と違って、政治力で決まらないだけ健全と言えるのだろうか。何しろ、神が直接位階を担保するのだから、不正は起こりにくい。根競べもいらない。
「なぜ、私が創造神と会っていることに気付かれたのですか?」
「もちろんそれもありましたが、神より啓示をいただいています。この街に来た黒髪でシンジと名乗る者が神殿を訪ねたら、この間に通すように、と」
なるほど、事前通達があったわけだ、とシンジは納得した。
「祈りを捧げますか?」
フレディさんが誘ってきた。そう言えは、幼女は街に着いたら神殿に来るように言っていた。もしかしたら、神殿で祈れば幼女に会うことが出来るのかもしれない。
「そうですね。こちらのやり方を知らないので、教えていただけますか?」
「では、私のやり方を見てください」
フレディは、いきなり神官服を脱ぎ始めた。
「え? ちょ? フレディ様?」
訳がわからず、フレディに声を掛けると、とてもいい笑顔でこちらを振り返った。
「神の前に虚飾は要りません」
そのままフレディは上半身裸になる。
老年と言ってもいい白いひげに似合わず、腹筋がシックスパックに割れており、大胸筋もバンプアップされている。非常に鍛え上げられたその上半身は、オイルで磨いたように黒光りしている。
「すっげぇ鍛えてませんっ!?」
「神の前で恥ずかしい体は出来ませんでな」
フレディは、大胸筋を見せつけるようにピクピク動かした。
「どこの兄貴だよ……?」
「それでは、よく見ていてください」
そう言うと、フレディは幼女像の足元にいきなり跪き、組んでいる足を両手で捧げ持ち、恭しく何度もキスをした。
唖然としてそのまま見ていると、フレディの顔がだんだん赤くなり、呼吸が荒くなってきた。
「こ、こうして、全身で神への、敬虔な意思を伝える、ので、す」
「オイちょっと待て」
それに反応したのか、椅子の前の台座が自動ドアのように下がり始めた。
フレディさんはすかさずその足元に、頭から土下座しながら突っ込んだ。
「こ、こうして、神の、足元に、ひれ伏す、ことで、神への、深い、祈りを、捧、げるのっ! ですっ!!」
フレディの声に、コーフンの色が深くなっていく。
背中はどんどん赤く染まり、震えが大きくなっていくのがわかる。
「これぞっ! 法悦っ! 法悦ッ!! 法悦ゥゥ~ッッ!!」
「それは法悦のチガう意味だぁぁっ!!」
まさに、幼女にマッチョが踏まれて喜んでいる図にしか見えない。
まぎれもなく、立派すぎる事案の絵面が完成していた。
「さあっ! あなた様も! 解脱の極致をっ!!」
「どんな儀式だコレはッ!? そんな解脱いら~んッ!!」
その瞬間、辺りが白い光に包まれた。
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……という事は、アナタはまさか……(; ・`д・´)ゴクリ




