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49.テンプレ的に、新人としてギルドをパニックに陥れる俺つー。

シンジ君、再び支部長(マスター)の膝を付かせることに成功するの巻。

支部長(マスター)に何てひどい仕打ちを……。(ヲイ)

 「またシンジか……」


 ジュリアに呼ばれて駆けつけた支部長(ジャック)の第一声がこれである。


 「何か、悪いことしたみたいに言われてるねえ」


 シンジが不満げに言うと、支部長(ジャック)が慌てる。


 「い、いや、そうは言わん、そうは言わんがなあ。……もうちょっと遠慮してくれるとありがたい」


 最後は疲れ切った表情で支部長(ジャック)が言う。


 「で、ジャックどうするよコレ?」


 所長がこそこそと支部長に確認を取る。


 「どうもこうも、伯爵様に報告するよりあるまい?」


 「待って。伯爵様に報告したら、どうなると思う?」


 「そりゃあ、国王様に献上になるだろうな。で、発見者のお前は騎士かなんかにお取立てだろう」


 「えー」


 「何でえーなんだよ? 騎士になりたくないのか?」


 シンジが不満そうな声を上げると、支部長が訝しげに問うてきた。


 「だって、せっかく冒険者としてブイブイ言わせようとしているのに、いきなり騎士になったら面白くないじゃん」


 「面白いとかで決めんな阿呆」


 そこで、シンジはひらめく。


 「そうそう、俺、他にも一応功績あるんで、貯めといて一気にブッパするってどう?」


 「詰まった便所じゃねーんだぞッ!!」


 「あらやだわ、お下品」


 「絞め殺すぞガキャァッ!!」


 まあまあ、とジュリアが支部長をなだめる。


 「ったく、話が進まねえから進めるぞ。仙桃茸以外は、一応換金するって事で良いか? オリバー、手続してやってくれ。で、モノがイイなら薬師ギルド員を呼んで、鑑定してもらってくれや」


 「あいよ」


 オリバーが言葉少なく答える。まだダメージが残っているらしい。


 「仙桃茸は……シンジ、お前が持っておけ。こんな危険物ギルドに置いておけん」

 

 「何でさ?」


 「お前、これひとつでいくらすると思う?」


 そんなことを言われても、この世界の金銭価値など、来たばかりのシンジに分かるはずがない。もちろん仙桃茸自体は、チュートリアルで何度も扱っているので、何に使えるかとか、どんなポーションになるのかとかはすべてわかっているのだが。


 首をひねるシンジに、重々しく支部長が告げる。


 「これ1個でな、間違いなく金貨1000枚は行くぞ。オークションにでも掛けようものなら、2000枚超えても不思議じゃない」


 「……マジ?」


 支部長は、これも重々しく肯く。


 さすがにシンジでも驚く。金貨1000枚という事は、10億円相当である。


 「うっそ、何でそんなに高いのさ?」


 「これひとつで、欠損した手足も治せるポーションが10本以上作れるんだぞ? 難病すら完治できる薬だって作れる。だが、キノコ自体がここ10年ひとつも見つかっていない。誰もが欲しがり、誰も手に出来ない代物だ。高くて当たり前だろうが」


 「え? そんなに見つかってなかったの?」


 「だから驚いているんじゃねーかッ!」


 「え? え? でもまだいっぱいあるよ? ほらほら♪」


 そう言って、シンジは10個ほど取り出して見せる。


 それを見た3人は、また崩れ落ちた。


 「あれ? みんなどうしたの?」


 しばらくシンジが待っていると、支部長が呻くように言った。


 「……いいからそれ、しまっとけや……もういいや。採取A-でいいや。ジュリア、カード更新を頼む。俺、疲れた。酒場で飲んでくる」


 「……ジャック、俺も付き合うわ」


 そう言い残し、支部長とオリバーが部屋を出て行く。


 「ふたりとも行っちゃったけど、ジュリアさん、いいの?」


 「……良くはないですが、気持ちはわかります。あと、そうですね。仙桃茸の件は、アンリ卿かランチェスト男爵様にでもご相談された方がよろしいかと思います。私からは支部長にそのようにお伝えしておきます。……明日にでも」


 今日はふたりとも使い物にならないでしょうしね、と、ジュリアはため息交じりで答えを返してきた。


 「素材を換金しましたら、カードに振り込んでおきますね。ほかの素材だけでも、金貨数枚にはなるでしょうし。……ただ、これもたぶん明日になるでしょうけど」


 「うん、それで良いよ。何か、大騒動になっちゃったねえ」


 「いえ、シンジさんが悪いわけでは。まあ、原因ではあるかもしれませんが」


 ジュリアが苦笑した。


 「でも、これでやる気出たよ。もっと頑張って採ってくるね♪」


 「いえ、お願いですから張り切らないで下さい。こちらの心臓が止まります」


 ジュリアが頭を抱えた。


 「大丈夫だよ。そこまで珍しいものはないでしょ。さすがにこの辺じゃユグドラシルの葉とか、五色の龍の鱗とかは採れないだろうし」


 「何ですかそれは? ……ものすごく不穏な響きがしますが」


 「自分比較で仙桃茸の20倍はレアな物品?」


 「……採って来て下さるんですか?」


 「やめてくださいしんでしまいます」


 チュートリアル中に手に入れたものはあるが、この世界で採ってくるとなると、まず死ぬだろうとシンジは思っている。


 「そう言えばジュリアさん、オークも換金したいんだけど、1度に何匹までなら大丈夫?」


 「そうですね、1度になら5匹が限界でしょうか。その日の素材の持ち込まれる量にも寄りますし、所長がいないのではっきりしたことは言えませんが」


 「ほむ、そうすると、結構掛かるかな? 全部処理するのには」


 「今日は無理ですよ、今日は。所長がアレですし、所員の方も勝手には出来ないので」


 それはそうだろう。上司の確認を取ってからでないと、勝手に処理は出来ない。それが組織というものだ。


 「でも、そんなにオークが? ……あ、魔物暴走(スタンピード)


 「そそ。まだまだ余っているからね。んでも、食肉として売るんなら、限度があるよね?」


 「先ほど言った10匹は、販売の事も考えるともう少し減りそうですが、マジックバッグを持っているお店なら卸せると思います。時間経過が遅くなるものもありますし」


 マジックバッグは思ったより普及しているらしい。


 「ほむ、了解。じゃあ、明日また来た時に相談という事で。オリバーさんに伝えておいてもらえるかな?」


 アイリスが承知した。


 「あ、そう言えば。素材買取で驚かれるって、これもテンプレ達成?」


 シンジは、今更のように気が付いた。

仙桃茸が見てみたい方、よろしければ、★とブックマークをお願いいたします。(チガ)

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