表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/135

41.テンプレ的に、倒したオークを披露する俺。

シンジ君、オークロードを巻き上げられるの巻。

まあ、権力者には媚びを売った方が良いよね。(ヲイ)

 「そして、君がシンジか」


 オリバーは、じっとシンジを見つめた。オールバックの髪と口ひげで、いかにも上品で眼光が鋭い長身の男だ。


 シンジは世界大百科で読んだ礼儀作法に則り左膝を付く。シンジはオリバーの部下ではないので、胸に握り拳ではなく、左手を開いて胸に当てる。これが上級貴族に対し、最上級の礼を尽くした姿勢となる。相手が王族であれば、平民は両膝を付いて両手を開き、胸で交差させる。


 「この場は公的なものではない。そこまでの礼を尽くさずとも良い。立ちなさい」


 オリバーの許可が出たので、シンジは立ち上がり感謝の黙礼をする。これで儀礼的には問題ないはずだ。


 「アイリス、シンジ。まずは領内での魔物暴走(スタンピード)の解決、感謝する」


 オリバーが軽く頭を下げてきた。アイリスが深々と頭を下げたので、シンジも習って頭を下げる。


 「さらにシンジ。ソフィアの救出、本当にありがとう」


 今度は立ち上がり、深々と頭を下げてきた。シンジは驚いてしまった。


 「伯爵様、頭をお上げください」


 「うむ、私の親としての感謝のしるしと受け取って欲しい。貴族のけじめはまた別だ。もちろん報酬は弾むぞ」


 「ありがとうございます」


 なるほど、親の立場と貴族の立場を明言するあたり、貴族としてはかなりまともな貴族なのだろう。幼女曰く、所謂テンプレ悪徳貴族も存在するらしいし。


 こういう貴族がトップにいるなら、この街を拠点にして住むのも良いかもしれない、とシンジは思う。下手な街に行って、欲深い貴族に捕まったら目も当てられない。


 何より、ギルドでは支部長(マスター)との面通しもしているのだ。普通に登録するより有利だろう。そう言えば、街で見かけた神殿にもいかなければならない。幼女に注意されているし。


 「では、話はここまでにして、早速鍛錬場に行こう。そこで、オークどもを見たい」


 オリバーは、少々せっかちの様である。いや、仕事が忙しくて時間が足りないのかもしれない。


 オリバーとシンジたちは、鍛錬場に向かった。




 ◇




 鍛錬場は、ちょうどコの字になった屋敷の裏手に当たる中庭にあった。中庭といっても、庭園になっているところは屋敷側のみで、中央は50m四方位が整地されていて芝のような草が植えられている。転んでもケガをしない様にという事だろう。


 20人ほどの兵士たちが、整列して控えていた。


 オリバーを先頭に、ランチェスト家一同が続き、最後にシンジが並ぶ。いつの間にか、ノアまでここに連れられていた。


 「それでは、まずオークロードから出してくれ」


 アイリスが、自分が持つマジックバッグから、オークロードの首と身体を取り出した。3mほどある体躯は、死体とは言え異様な迫力がある。


 「おお……これがオークロード」


 誰かが声を上げた。


 「この首の切り口、異様に滑らかだな。アイリス、其方の持っている剣で斬ったのか?」


 「こちらにございます」


 アイリスは、魔剣を鞘ごとオリバーに渡す。もちろん、アイリスは鞘の方を持ち、柄をオリバーに向けてだ。


 オリバーが鞘から剣を抜く。すると、剣はオリバーの魔力を吸ったのか、アイリスの時とは違い、刀身が淡く黄色く染まった。


 「ほう、これはすごい剣だ。魔剣だな。これほどの物はめったにあるまい。アイリス、どこで手に入れた?」


 アイリスが、ちらりとシンジに目くばせした。言っても良いのか、という問いだろう。


 (隠せるもんでもないよね。しょーがない)


 シンジは、うなずいた。 


 「こちらのシンジ殿から譲り受けました」


 「今使っている剣の前に持っていたものです」


 嘘はついていない。今メインになっている氷の剣の前に打ったものだ。


 「なるほど……。まあ良い、他のオークを出してくれ」


 アイリスは、オークジェネラルを出す。ノアがオークを出した時には、オリバーをはじめ兵士たちが驚きの声を上げた。


 そしてシンジはオークビショップを出し、オークナイトをまず10体ほど出した。


 「ここにこれ以上出すと、さすがに出し切れませんが」


 「そうか、報告では1000体あるのだったな。ロードとジェネラル、ビショップはこのまま引き取りたいのだが。晩餐に使おう。もちろん、皆も招待する。もちろん代金は払うぞ。ビショップやジェネラルなど、なかなか食えないからな。ロードは王に献上したい。良いか?」


 シンジとアイリスはお互い顔を見合わせ、うなずき合う。


 「「(しか)るべく」」


 そして、貴族用語で了承と答えたのだった。


 「うむ、感謝する。アイリスの爵位を申請するにも、ロードを献上すれば、個爵だけではなく家爵まで通るだろうしな」


 そういう事なら、シンジは大賛成である。アイリスは驚いている。


 「よ、よろしいのですか?」


 「せっかく自分の手で守った村があるのだ。そのまま領地とすれば、村人も安心だろう」


 「あ、ありがたく拝領いたします」


 「気にすることはない。私もまったく被害なく魔物暴走(スタンピード)を解決できたのだ。王の覚えもめでたくなろうというものだ」


 オリバーが上機嫌で笑う。これは本音だろう。オーク1000体の魔物暴走(スタンピード)なら、普通は村の3つや4つは壊滅する。下手をすれば、領都ですら被害が出ただろう。それを被害なしで乗り切ったのだ。


 「さて、騎士や兵士にもオークを食わせたいな。ナイトも10体ほど引き取ろう。喜べ皆! 明日は魔物暴走(スタンピード)討伐記念として、宴とする!」


 兵士たちの歓声が響いた。


 「さて、その他は冒険者ギルドに引き取らせればよかろう。このマジックバッグは高性能だな。ほとんど時間経過が無いようだ」


 オリバーが、マジックバッグの性能に目を付けたようだ。


 「あー、それは」


 再びアイリスがチラリとシンジに目くばせした。シンジは同じようにうなずいた。


 「では、マジックバッグをお持ちください。ロードを収納してそのままお持ちになれば良いでしょう」


 アイリスは、マジックバッグをひとつ差し出した。 


 「済まぬな、これも買い取らせてもらおう」


 オリバーは笑みを深くした。


 その夜、オリバーを交えた晩餐会で食したオークは、大変おいしかった。

オークステーキ喰いたい!という方、★とブックマークをお願いします。(マテ)


---------------------

仕事の都合で、10/8更新は飛ばします。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ