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34.テンプレ的に、貴族宅へ突然訪問する羽目になる俺。

シンジ君、お呼ばれ決定の巻。

まあ、普通そうだよね。

 「シンジさん、少しこの部屋でお待ちいただけますか?」


 取り調べが終わり、さて次はどうしようかとシンジが思った時に、アイリスから声が掛かった。


 「ん? どったの?」


 「兄上、シンジさんにお渡しするので、大銀貨10枚分ほど融通してください。後ほどお返ししますので」


 「ああ、そうか。ちょっと取ってくる」


 アンリは、アイリスからの依頼に、後ろ手を振って部屋を出て行った。


 「シンジさん、兄上が戻ったら、まず剣の1回目の支払いとして大銀貨10枚お渡ししますね」


 ああ、そういう話してたな、とシンジは思い出した。


 (確か大銀貨10枚は小金貨1枚で、日本円だと10万円くらいだったかな。宿代を考えても数日は大丈夫だろう)


 シンジは素早く頭で計算し、うなずいた。


 「うん、今手持ちのお金が無いので、それはありがたくいただきますよ」


 「明日であれば、もう少し用意出来ると思いますので」


 「そんなに慌てなくても大丈夫だけどね」


 とりあえず冒険者ギルドに登録して、オークを売ればなんとかなるだろうとシンジは考えていた。が、しかし。


 (……いや、売って良いのだろうか?)


 ふと、魔物暴走(スタンピード)の証拠であるオーク肉を勝手に売ってしまって良いものだろうかという疑問を感じてしまった。


 (まあ、褒賞金が出ると言っていたので、それと引き換えでもいいな、うん))


 シンジは後で確認しようと思った。


 そこへ、アンリが小さな革袋を持って戻ってきた。


 「アイリス、持ってきたよ」


 「兄上、感謝します」


 革袋を受け取ったアイリスが、中身を取り出し机の上に置く。すると、500円硬貨よりふた回りほど大きく厚い硬貨が10枚、そこには置かれた。


 「大銀貨10枚、間違いなく」


 アイリスは皆に確認するように言って、再度革袋に仕舞い、シンジに手渡してきた。


 「おおう、ずっしり来る」


 感覚としては、500ミリリットルのペットボトルよりちょい重いくらいだろうか。


 「これで買い物とかは出来ると思います。市街では、さすがに小金貨は使いづらいと思いますので」


 大銀貨なら1枚で1万円感覚だ。釣りは多くなるだろうけど、ちょっと大きめの商店ならば使えなくはないだろう。


 「そうだシンジ殿、今日はぜひウチの屋敷にお泊り下さい」


 アンリさんから、思い出したように提案が来た。まあ、もちろん街に入ってすぐにこの詰め所に来たから、宿は取ってない。


 そろそろ夕方になるので、どうしようかと思っていたところだ。


 「いきなり見ず知らずの人間を泊めるとか、大丈夫なんですか?」


 しかもアンリは貴族だ。普通なら、軽々しく平民の、しかも流れ者を泊めるとかあり得ない。


 「シンジ殿の場合、まず姫をお救いいただいたこと、またアイリスを助けてもらった上に功績まで上げてもらいました。これで招待出来なければ、家の名折れになってしまいます」


 なるほど。貴族は面子を大事にするから、その辺は重要な要素なのだろう。


 「分かりました。今日はお世話になります」


 「そうしてください。アイリス、屋敷に知らせてくれるかい?」


 「承知しました兄上。使いを出しておきます」


 アイリスが部屋を出ていく。下働きを使いに出すのだろう。


 それを確認するかのように見て、アンリがこちらに振り返った。


 「さてシンジ殿、一応ご招待する前に、我が家の事をお話ししておいた方が良いと思いますので、お時間をください」


 確かに、何も知らずに行って、貴族相手に失礼をしてはまずいだろう。


 「我がランチェスト家は、この地の領主であるチェスター伯爵家の分家で、男爵位をいただいてチェスター家に仕えています」


 ちなみに、この国では家の爵位は上から公爵・侯爵・辺境伯・伯爵・子爵・男爵・準男爵・騎士爵=法士爵となる。ただし、公爵は王族から離れた三親等までに与えられる爵位で、領地持ちはいない。


 臣下家の最高位は侯爵で、上級貴族というのは伯爵までを、中級が子爵・男爵・準男爵、下級貴族は騎士爵・法士爵、そして爵位が無い騎士と法士という事になる。騎士が武官で法士が文官だ。


 「あー、爵位持ちのお屋敷にいきなり行くとか、お世話になると言いましたけど、ちょっとご遠慮したい気分に……」


 シンジがちょっと退く。


 「ああ、ウチはあまり、というか、このチェスター伯爵家自体が、公式の場は別にして、あまり身分をうるさく言うタイプの貴族家ではないので、そこは心配ご無用です」


 もちろんアイリスの恩人ですから、一般的な礼儀だけ気を付ければ大丈夫ですよ。アイリスは家族中から愛されていますからねとアンリは笑う。


 (……縦スジの件は黙っていよう。絶対に)


 シンジは、内心冷や汗をかいていた。バレたら首が危ない、物理的に。


 (俺がT〇 L〇VEるの主人公だったら、首が100回は飛んでるね)


 それならシンジは中途現実(ちゅうとりある)を合わせて200回以上死ぬことになる。それは勘弁だ。


 そこへ、アイリスが戻ってきた。


 「兄上、先ぶれは出しました。四半鍾もあれば準備は出来るでしょう」


 1鍾は約3時間だ。四半鐘なら45分程度となる。


 「アイリス、ご苦労。ではシンジ殿、もう少し休憩したら、アイリスが屋敷をご案内します。アイリス、良いね」


 「アイリスさん、お仕事は大丈夫ですか?」


 「総隊長からの指示ですので大丈夫です。問題ありません」


 とても良い笑顔をするアイリス。


 「サー・アンリは?」


 「私は報告書だけまとめましたら、遅れて向かいます」


 アンリは少し苦笑した。


 「あ、そうだ。サー・アンリ、ひとつお尋ねしたいことが」


 「何でしょう?」


 「実は冒険者ギルドで、倒したオークを売ろうかと思っていたんですが、大丈夫でしょうか?」


 「そうか、そんなに日持ちしませんからね。ですが、伯爵にお見せする必要があるかもしれませんので、明日までは待っていただいて良いですか? 早急に確認します」


 「分かりました」


 まあ、先ほど貰ったお金があるし、問題はないだろう。


 「アイリスさん、冒険者ギルドの場所だけ今日確認しておきたいので、屋敷に向かう途中寄れますか?」


 「では、この後歩いて街をご案内しながら屋敷に向かいましょうか。ちょうど良いころに着くと思いますので」


 「ん、よろしくお願いします」


 シンジとアイリスは、荷物をまとめて詰め所を出ることにした。

アイリスとおうちデートッ!? と思った方。

……先生怒らないから、正直に★とブックマークを入れましょう。(マテ)

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