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133.テンプレ的に、穴掘りする俺。

シンジ君、穴掘りガンバるの巻。

決して墓穴ではない、と信じたい。(ヲイ)

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すっかり遅くなってしまいました……。

1月2月はイベントがね……(´・ω・`)

 「さってとー、まずは地形を調べよっかな」


 魔の森を抜け出し、森の端から空を飛んだシンジは、地脈、特に森から連なる太い龍脈クラスの流れを辿りつつ、町が造りやすそうな地形を探した。


 地脈の流れを見ているのは、作物の育成に絡んでいるからだ。ラックブック村に配慮して、食べる分以外は大っぴらに小麦は作らないつもりだが、それ以外の作物については、いろいろ作る気満々である。


 「特に、大麦は必要だよね。お酒的にも」


 大麦はエールやビールの原料になる。ウイスキーもだ。しかも、龍脈の影響を受けたものなら、格段に味が良くなるはずだ。もちろんこれは証明済みである。幼女がかくあれかし(・・・・・・)とやらかしたからだ。


 ビールを造る時には、ホップも必要なのだが、とりあえずシンジの手持ち材料にかなりの量がある。と言っても、いずれは栽培しないとならないだろうが。


 「まあ、ホップなしのをエールで、ありのをビールと呼ぼうか。みんなの名前がイギリス風だから、それで合ってるでしょ」


 いい加減な話である。純粋令を出したドイツ人が飛び蹴りをかましてきそうだ。


 「あ、あのあたりが良いかなっと♪」 


 空から龍脈を透視しながら地上を探すシンジは、それなりに太い流れを追っていく。すると、龍脈の近くに緩い丘を見つけた。王宮から渡された領地を示す地図と見比べ、ここがシンジの領地であることも確認する。


 「うん、ちょうど領地内だね。この丘を整地すれば、良い感じに街が造れるかな? かな?」


 そこは、見渡すと四方には草原が広がり、背には魔の森が遠くに見える絶好のスポットだった。なぜここに村が無いか分からないくらいに。


 実際のところ、シンジからすれば結界か防壁を作ればよいので、たとえ街を造ってもどこからも奇襲されない十分な距離に見えるのだが、この世界の常識だと、ここは魔の森に近すぎる危険地帯でしかない。


 魔の森が見えるところにある街など、護衛も武器も無しに、宝石をジャラジャラと着けてスラム街をひとりで歩く貴族令嬢に等しい。


 実際に、最も魔の森に近いと言われているラックブック村ですら、ここから軽く5Kmは離れている。


 すっと音もなく、丘の上に降り立つシンジ。より地脈を精査するため、地面に両手を突いた。


 「おっ、この辺は地下水脈も豊富なのか。井戸さえ掘れば、水には苦労しなさそうだね」


 恐らくは魔の森を源流とする地下水脈が、縦横無尽に張り巡らされているのだろう。この地に大きな川が無くても草原が枯れなかったり、森に十分な水が行きわたっているのはそれが原因だろう。


 しかも、地下水だけに地脈からの魔素を十分含んだ水となるのだ。森の木の異常なまでの生育も、それが要因だろう。


 そして、魔の森から離れたこの地が草原なのは、森で吸われて薄まった魔素が、雑草の生育を促しているからだろう。魔の森の範囲が極端に広がって行かないのもそのせいだ。


 ならば、魔の森の最奥には、この魔素を生み出すものがあると思われるが、それは何だろう。遠くに見える巨大な山だろうか。


 「……あの山、たぶん火山なんだろうねえ。独立峰だし」


 どう見ても成層式火山である。ということは、富士山やキリマンジャロのように。


 「この辺には温泉があるって事かな? かな?」


 シンジは、地下水脈の網目位置より、さらに深くを精査していく。


 「んー……、あ、これかな? 結構深いかな?」


 シンジの感覚的には、400mほど地下に湯だまりがあるように感じられる。


 シンジの見たところ、地下を流れる水は、3段階に分かれていた。


 地下数mにある水脈は、薄い岩盤の上を滑るように流れている。これは、表面層の地下水だ。量もほどほどで、地表の植物を潤しているのがこれだ。


 そして岩盤の下、地下数十mにあるのが、大量の水が川のように流れる地下水路。


 そこからまた厚めの岩盤の下に、湖のような大量の水がある。どうもこれは高い温度になっているようだ。ただ、距離が離れすぎていて、いかにシンジの地底精査と言えども、成分までは分からない。


 「ふむ、ちょっとだけ掘ってみようかな? かな?」


 ただし、この岩盤ふたつを下手に掘り抜くと、地面の圧力で自噴状態になる。もし成分的にまずかったらシャレにならないので、現時点では最低限にするべきだろう。


 「んじゃ、地魔術で地下掘りつつ……」 


 シンジが地面に手を当てると、その立ち位置から3mほど離れた場所が、直径2mほど円筒形に凹む。そのまま2mほど地下に下がると、そこで止まった。


 「で、その中心部分から掘っていく、と」


 シンジは目をつむり、感覚を確かめるように、地面についた両手の人差し指と中指をリズミカルに動かす。


 すると、今度は円筒の中央に直径数cmの穴が開き、そこからどんどん奥に沈んでいく。水の層に当たりそうになる度、シンジが左右どちらかの指を動かし、回避する。もし、地面の中を見られる者がいれば、まるでワームが自在に地中を掘り進んでいるように見えただろう。


 暫く進んでいくと、穴は薄い岩盤にぶち当たった。だが、そのまま何の抵抗もなく掘り進んでいく。シンジの土魔術が、岩盤を砂に変えているのだ。


 「んー、そろそろかな?」


 穴掘りは順調に進んでいき、ついに厚い岩盤へとたどり着いた。が、シンジはそこで一旦停止させる。


 「岩盤掘りぬいて、もし熱湯が噴き出したら大変だもんねえ」


 もちろんその心配もあるが、温泉の成分に有害物質、例えばヒ素などが含まれていたら、土地が汚染されてしまうのだ。慎重に行う必要がある。


 シンジは、まず土の円筒を、水漏れが無いようにガチガチに固めて岩にし、その上を結界のように魔力で覆った。細いパイプ状の穴も同様に固める。これで湯が染み込むことはない。


 そして、慎重に厚い岩盤を掘り進める。掘りぬいた、と思った瞬間、一気に地下から湯が上がってくる。


 「うーん、自噴レベルの圧があるねえ」


 シンジは穴の中に魔力で圧を掛けていく。圧縮された空気層のようになった魔力は、湯の勢いを押しとどめる。それをゆっくりと地表まで導いていく。


 「もうちょい、もうちょい……ん、すとっぷ」


 シンジの声掛けとともに、円筒に半分ほどの湯が溜まり、そこで止まった。湯からは自然に湯気が立つ。


 「ん、硫黄臭はないね。『鑑定』」


 シンジが鑑定を掛けると、湯の成分が半透明のボード状に目の前で表示される。


 「んー、硫酸イオン、メタケイ素、アルミニウムイオン……お肌向けの湯だねこりゃ。あ、鉄イオンもか」


 温度も63℃で、空気に触れたせいか、お湯は少し茶がかっている。


 「よーし、危ない成分はないね。温泉で村づくり出来るね。これで野望に近づいた」


 計画通りと、ニヤリと笑うシンジだった。


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