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123.テンプレ的に、フレディに相談する俺。

シンジ君、またいぢられるの巻。

だってしょうがないじゃない、しんじだもの。(ヲイ)

 「奴隷?」


 「ええ、奴隷であれば、制約により裏切ることも、秘密を話すこともありませぬ」


 あっさりとセバスが言った。


 前述した通り、この大陸で『奴隷』は2つの区分がある。『犯罪奴隷』と『借金奴隷』である。


 犯罪奴隷はさらに2つに分かれる。重犯罪奴隷と軽犯罪奴隷だ。


 重犯罪奴隷は、重大な犯罪を犯して本来死刑になるところを重労働や人体実験のために生かしているというものだ。だから、基本的に死ぬまで奴隷からの解放はない。


 軽犯罪奴隷は、一定までの犯罪による罪や、被害者への弁済のために一定期間働かせるというものだ。稼いだ金はすべて弁済に廻り、仮に刑期が終わっても返済が終わらない限りは解放されないし、逆に返済が終わっていても刑期が終わらないと解放はされない。


 借金奴隷はセーフティネットの役割が強いのだが、額が大きい場合は子孫までその借金を背負う点は厳しい。


 「ですので、この場合は技能を持った借金奴隷を購入するという方法が一番ふさわしいかと」


 「なるほど奴隷ねえ。パワーワード過ぎて思いつかなかった」


 「ぱわ……? ええ、まあ実際のところ、事情がある奴隷などを買って、早めに更生させていくのも貴族の務めとして行われています。その場合、長期的に見れば、大変忠誠心の高い家臣になります」


 実際新設の貴族家などは、それで家臣団を育てていくという考え方もある。確かに、自分のせいではない借金奴隷ならば、そこから救われたのであれば確実に忠誠心は高くなるだろう。


 それに、シンジの場合は鑑定もある。奴隷を鑑定すれば、地雷かどうかの判別も付くのだ。そういう意味では、人を雇うのに問題は無いのだが、忠誠心を期待できるという点では奴隷の方が良いのかもしれない。


 「ほむ、納得した」


 「では、神殿の協力を仰ぎましょう」


 「神殿の? あ、そうか」


 シンジは言われて思い出した。


 「ええ、隷属魔術は神殿の司祭様以上しか使えませんので」


 シンジとセバスは神殿に向かうことにした。リルは、屋敷の庭で遊ぶようである。けものカワイイ。




 ◇




 「しt……しん……ん、クロス卿、ようこそおいで下さいました」


 モロバレしそうな言い間違いをしながら、上手く誤魔化すフレディ。傍から聞くと、名前で呼ぼうとしてしまったとしか思わないだろう。芸の細かい事だ。


 「シンジで良いよシンジで。それよりどうしたの? 随分慌ただしいみたいだけど」


 神殿に行くと、呼び出されたフレディが慌ただしくやって来た。


 「ええ、今回の拡張工事で、神殿も移転しますので、その下準備が始まったところです」


 「ん? でも、壁が出来ても神殿はまだ建っていないよね?」


 建っているどころか、まだ単なる平原である。


 「ええ、ですが、今のうちに計画を立てて準備をしておかないと、到底間に合わないのですよ。何しろ、モノが多いので」


 それなりに歴史ある神殿なので、重宝や神具なども数多くあり、細々とした準備が必要なのだ。


 「おや、そちらの君は」


 フレディがシンジの横を見た。そこには姿勢よくセバスが立っている。


 「ご無沙汰しております。セバスでございます。フレディ祭司教補様、枢機卿になられたとお聞きしました。おめでとうございます」


 セバスが深く頭を下げた。どうやら、フレディとセバスは面識があるらしい。


 「おふたりが連れ立ってくるとは、どうしましたかな?」


 「それが、クロス卿が屋敷を拝領したので、奴隷を購入しようかと思いまして、フレディ祭司教補様にご相談に伺いました」


 セバスが用件を伝えると、フレディは満面の笑みを浮かべた。


 「それは素晴らしい! セバス殿、よくぞクロス卿をお連れ下さったッ! あなたに創造神(テプレーナ)様のご加護のあらんことをッ!!」


 フレディがセバスに聖印を切る。すると。


 《よしよし、セバスちゃんに加護つけちゃるぞー》


 謎の声が響いた。


 「幼女ぉッ!! てめー勝手なことすんなゴルァッ!!!」


 シンジが吼えるが、幼女の爆笑しか聞こえない。


 このやり取りが聞こえているのか、フレディとセバスが五体投地で震えている。


 「ん? 何してんの?」


 シンジがそれを見て、首をひねった。


 「いやいやいやいや、しt、クロス卿、創造神(テプレーナ)様となんちゅうやり取りを……」


 五体投地のまま首だけ伸ばし、フレディが答えた。


 「え? いつもこんなんだよ? なあ?」


 《そうだぞー》


 お気楽な幼女の声が響く。


 《お、セバスちゃん(・・・)だったな。シンジの家の家宰になるんじゃよな。ならば秘密は共有した方が良い。だからお前にも加護をやる。だが、シンジを裏切ったら……わかっておるな?》


 最後だけ幼女の声が低い。


 「こらこら、善良なイチ市民を脅すんじゃないよ。それに『ちゃん』のアクセントが違うようだが?」


 《だって、そっちのほうがかわいいじゃん》 


 「お前はどこのサディスティックなお嬢様だ」


 《まあよかろう。シンジを頼んだぞ?》 


 「お前は俺の母親かッ!?」


 《似たようなもんじゃろ。じゃ、あとはよろしく。楽しい番組を期待するぞ♪ オーバーアウト》


 プツッと言って音が切れた。


 「だからアマ無線かよッ!?」


 思わすシンジが突っ込んだ。沈黙が流れる。


 「……あ、あのー使徒様?」


 恐る恐るといった感じで、フレディが話しかけてきた。セバスは固まったままだ。


 「全く幼女め余計なことを……あー、そういう訳だから、セバス=チャン、よろしくね」


 セバスが恐る恐る顔を上げた。


 「クロス卿、いえシンジ様、心の底から、貴方に忠誠を」


 「まあ、お気楽に、軽く考えてね」


 「いえそれ無理です」


 そりゃそうだろう。

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