表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/135

119.テンプレ的に、熱血コーチに転身する俺。

シンジ君、熱血コーチした結果の巻。


暑さで筆が進まない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。(ヲイ)

 シンジが鬼コーチになって、再び10日間が過ぎた。


 修行を積んだ魔術団員たちの顔は引き締まって、歴戦の勇者に見える。見え過ぎる。


 「……で、何で皆、額と顎に影線が入っているんですか?」


 アンリの疑問が、むなしく響く。


 「うん、みんな修行ガンバったら、妙にシリアスになっちゃったんだよね」


 「私たちがいない間に、一体、どんな修行を?」


 アンリとアイリスは、他の仕事もあるために後半5日間はこちらに来ていない。


 「普通にコーチしたよ。血を吐きながら」


 「血ィッ!?」


 シンジ的に、コーチが血を吐くのは譲れないのだ。だってコーチだから。


 「おかげで、みんな段位が上がったよ」


 シンジの鑑定によれば、全員二段から三段以上に上がっている。四段になった者もいる。


 「いや、団員の段位が上がったのは喜ばしいですが……。何で全員肩パッドに棘とげを付けているんですかッ!? ヒャッハーとか騒いでいるしッ!!?」


 「……様式美?」


 絶対違う。




 ◇




 「あー、それで土魔術士たちは大丈夫なんだろうな?」


 オリバーとアーサーが執務室で頭を抱えている。……どうも、この姿勢がデフォになりつつある。


 「うん、大丈夫ですよー。指導が終わったので、徐々に元に戻ると、思うけど、たぶんきっとめいびー」


 全く安心できない。


 「俺も、血を吐きながらの指導は苦しかったので、早めにモノになって良かったと思いました」


 「何で血を吐くんだッ!?」


 様式美である。たぶん。


 「……しかし閣下、チェスタニアの城壁がここまで早く完成したとなると、王都から土魔術士の貸し出し依頼が来てしまうのでは?」


 アーサーが懸念点を挙げる。確かに、鍛えた土魔術士は優秀で、四段になったリーダーを始め、全員が三段に上がった。単純な比較は出来ないが、剣術でアイリスが上位だったことを考えると、四段は国内でも上位に入るのだろう。


 「それは困るなあ。俺としては、都市の地下上下水道の構築について、彼らから教えてもらいたいんだよねえ」


 シンジとしては、せっかく手間暇かけて彼らを育てたのは、実地で都市構築計画を教えて欲しいからという側面がある。


 シンジは自分の土地で構築する都市は、最高の環境に仕上げたいと思っていた。それこそ我が使命(テンプレ)であると。要は、『ぼくのかんがえたカッコイイ都市』が造りたいのである。


 知識面だけならチュートリアル中に学んでいる。が、所詮は『中途りある』である。本当の現場で都市計画を学び、知識と擦り合わせをしたいのだ。


 「ならば、新城壁の内地の整備、明日から一緒にやってくれるか? 王都から依頼がある前に、進められるだけ進めておきたい」


 オリバーが決断した。


 「ラジャりましたッ! ビシバシ逝きます!」


 シンジがサングラスをかけて敬礼で答えた。


 「しかし、そうすると魔術団員が、あの顔から戻らなく……」


 頭を抱えるアーサー。


 「んじゃ、コーチを変えましょう」


 シンジがサングラスを取り、拳を握った。


 「限界までやって、そこから先がまだ頑張れる! できる! できる! 修造になるんだよッ!! ……こんな感じで」


 美形なのにやたら暑苦しい顔になるシンジ。顔芸である。


 「何なんだシューゾーってッ!?」


 「ポジティブと熱血指導は、移動するたびに現地を晴れにするんだよ?」


 「意味が分からん……」


 アーサーが机に突っ伏した。


 なお、シンジの熱血指導により、今度は顎の影線やトゲトゲ肩パッドではなく、さわやか暑苦しい集団となったようだ。


 オリバーとアーサーが再び頭を抱えたのは言うまでもない。どっとはらい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ