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109/135

109.テンプレ的に、竜の魔石を取り出す俺。

シンジ君、竜をバラすの巻。

ついに渋谷(109)まで来ました。

どこまで行けるやら。(ヲイ)

 以前オークで埋め尽くされた練兵場には、竜の亡骸が横たわる。非常にシュールな光景である。


 こんなことに使われる練兵場も、いい迷惑だろう。


 すでに血抜きが済んでいるので、地面が赤く染まることはないのが救いだろうか。


 膝を着いていたオリバーが、ふらりと立ち上がる。揺れているあたり、まだ精神的なダメージは抜けていない模様。


 「ま、まるで食べたことあるような言い方だね?」


 オリバーが問いかけてくる。ちょっと声が震えているように思う。


 「ええまあ、昔やんちゃしたときに」


 「昔って……?」


 具体的には、チュートリアルの時、中級龍までなら。上級龍である金属龍は金属だから食えないし、最上級の五色の龍はそんな存在ではない。


 ただ、シンジは見た目が17歳なので、昔と言われても混乱するしかない。


 「とりあえず、2頭目も出しますか」


 ズ、ズシン……ッ! という音とともに、2頭目の地竜が横たわる。これで、練兵場は半分竜で埋まってしまった。


 「こ、こちらはほとんど傷が無いね?」 


 「まあ、脳天刺しましたので」


 奇麗に倒したので、まさに美品である。


 「魔石は、そのまま、かね?」


 そう言えば、まだ魔石は採っていなかった。


 「取り出しますか?」


 シンジはオリバーに確認する。


 「……いや、こちらはそのままにしておこう。シンジ、このマジックバッグは時間遅延機能は付いているのかね?」


 「ええ、そりゃもう」


 大型のバッグは、逆に時間遅延の魔法陣が書きやすいのだ。あくまでシンジにとっては、なのだが。もちろん、書いている最中は魔力を流しっぱなしだから、普通の魔術士には不可能だ。


 「やはり、そうなのか……。この目で見ても信じられんが」


 オリバーが頭を抱えた。普通に国宝級のマジックバッグなのだから、この反応は仕方がない。


 「そのほとんど傷が無い方は、念のためそのままにしておこう。首を落とされた方は、魔石を取り出そう」


 オリバーが結論を出した。


 早速シンジは、腰のウエストポーチからナイフを取り出した。鞘から抜くと、透明感のある、蒼々と清冽な輝きを持つ40cmほどの刀身が現れた。


 シンジはそれを逆手に持つと、横たわる竜の胴体に近づく。


 シンジがナイフを持たぬ左手を振ると、地面からギルド解体所になるような作業台がせり上がってくる。土魔術を使ったようだ。ご丁寧に、バケツ状のダストボックスも付いている。


 次にシンジは、ウエストポーチから別のバッグを取り出す。そこから、ひろい口を持つ透明なガラスの瓶をいくつも並べだした。中には、桶のように見える大型の物もある。


 「さて……」


 シンジが魔力をナイフに流し始めた。ナイフの刃は、さらに蒼々と輝きを強める。シンジはそれを確認するように一瞥すると、ゆっくりと竜の横腹、ちょうど鱗がある部分との境目にナイフを走らせた。ナイフは、何の対抗も無いようにするりと奥へと滑らせる。


 全員が唖然と見つめる中で、シンジは淡々と竜の内臓を取り出していく。ひとつひとつの内臓が、丁寧に取り出され、ガラス瓶に入れられながら作業台に並べられる。


 「あ、これだ」


 シンジの体半分がドラゴンの身体の奥に入り、見えない状態で声が響いた。


 皮を潜るように姿を現したシンジ。左手には、紫色をしたラグビーボール大のいびつな水晶玉が握られていた。


 「伯爵様、これが地竜の魔石ですよ」


 そう言いながら、シンジは作業台の空いているスペースに水晶玉を置いた。


 「でかい、な」


 ゴクリと喉を鳴らし、オリバーがまじまじと魔石を見つめる。全員の目が、魔石に集まった。


 「こんな巨大な魔石、見たことがありません……」


 アイリスがつぶやくように言う。


 「そうだな、あのオークロードの魔石でも、赤子の手のひらに乗る大きさだったからな」


 オリバーが深く肯いた。


 「私は、70年前に退治されたという竜の魔石を見たことがある。これより二回りは小さかった。その竜は黒竜と言っていたから、下級に分類される竜なのだろう。今回は地竜、中級竜だ。もっと上のランクの竜なのだろう」


 「……こんなものが2頭も領都に来ていたらと思うと、ゾッとしませんな……」


 少し顔を青くしながら、アーサーがつぶやく


 「まさにそうだ。領都は壊滅したかもしれん。これも、3人の功績だな」


 オリバーが深く肯いた。


 その時、白い煙とともに、何かが焼ける匂いが漂ってきた。


 全員がそちらを振り向くと、シンジが後ろを向いて何やらゴソゴソしていた。


 「シンジさん、何しているんですか?」


 アンリが問いかけると、シンジがくるりと振り返る。


 「ん? ちょっと味見しようかなと」


 シンジの前には、いつの間にか金網が置かれ、そこでは赤味の肉が焼かれていた。


 「何やってんですかーッ!!?」


 アンリが絶叫する。


 「え? 焼肉?」


 「「「「「そうじゃなぁぁぁいッ!!!」」」」」


 その場にいた全員の声が揃った。

竜の焼肉食ってみたい! という方、★とブックマークをお願いいたします。(マテ)

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