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103.テンプレ的に、決戦の準備をする俺。

シンジ君、下準備の巻。

ドラゴン特攻の剣(スレイヤー)を持つ。男の夢だよねえ。だから、アンリの反応はしょーがない。(チガ)

 「んー、お客さんが近づいてきちゃったかなー」


 シンジが静かにつぶやくと、騎士隊がざわめいた。アンリは我関せずで、剣に魅入られている。それでいいのか総隊長。


 シンジは、ポンコツアンリを放置して、勝手に話を進めることにする。


 「んで、アイリスさん。これパス」


 突然シンジは、持っていた剣をほいッとばかりにアイリスへ投げ渡した。


 「あわっとっとっとッ! し、シンジさんッ!こんな国宝級の剣を投げちゃダメですッ!!」


 アイリスが、剣をお手玉しながら何とか落とさず掴むと、顔色を変えてシンジを怒鳴る。


 「まあまあ、それより、剣を抜いてみてよ」


 シンジが笑いながらアイリスをいなす(・・・)と、ほれほれと剣を抜く動作をする。


 全くシンジさんは、とブツブツ言いながらも、アイリスは剣を抜き放った。木漏れ日を受けて、金色に光る刀身は、まさに名剣の威厳を備えたものだった。


 「はあ、これは凄いですね」


 一瞬、アイリスはアンリ(ポンコツ)と同じ表情になったが、プルリと頭を横に振り、勝機を取り戻した。妹は、それほど毒されていないらしい。


 「アイリスさん、循環した魔力を剣に流してみて?」


 「あッはい、こうですか?」


 シンジの目には、凝縮されたアイリスの魔力が、手から剣にスムーズに流れるのが見て取れた。これは、シンジが持っている鑑定八段の力だ。


 その先では、同じようにアンリも剣に魔力を流している。こちらもスムーズだ。だが、顔が愉悦に輝いて見える。愉悦の歪んだ表情でもイケメンはイケメンである。ちくせう。


 「うんうん、良い感じ。どう? 剣が力を増してるのわかる?」


 「あ、すごい……」 


 ちょっと陶酔気味の顔と声。アイリスが言うと、非常にエロスを感じる。普段が凛としているだけに、ギャップが強い。


 「じゃあ、騎士の皆さんは、そろそろ移動してくださいねー」


 「ほ、本当にドラゴンとやり合うお積りですか? 3人で?」


 恐る恐るという感じで、騎士隊のひとりが聞いてきた。シンジが騎士爵なのを知っているので、敬語である。


 「うん倒せる倒せる。アイリスさんとアンリさんいるし。だから、早めに退いてね。ちゃんと、ドラゴンブレスの範囲外まで下がる事。いーね?」


 「は、はい」


 騎士隊のメンバーは、少しずつ後ろに下がった。


 「あ、それから、さっきアンリさんが言ってたけど、伝令もよろしくね。こういう場合、行く人決まっているでしょ?」


 「は、はッ!」


 ふたりの騎士が、敬礼をして走り出した。


 「訓練されているねー」


 「うちの小隊ですから」


 ドヤ顔で胸を張るアイリスがちょっとカワイイ。


 そうこうしていると、奥の方からゆっくりと響く低い音が、少しずつ近づいているのが感じ取れた。


 「し、シンジさん」


 アイリスの呼び掛ける声が震えている。アンリはまだ剣を眺めている。ダメだこりゃ。


 シンジはアンリに呼び掛けた。


 「アンリさん、アイリスさん。もしふたりがドラゴンに止めを刺せたら、記念にそれはプレゼントするよ♪」


 「「はああぁぁっっ!!?」」


 アンリもアイリスも、驚きのあまり声を上げてしまった。シンジのショック療法である。


 「緊張ほぐれた? そろそろ来るよ?」


 シンジの言葉通り、木を倒す音と地響きが近づいてくる。


 「あ、木が多いと剣だと戦いにくいよね。ここでも良いけど、この辺にもうちょっと開けた場所ある?」


 「もう少し東側に下がると、まとめて木を伐採した場所があります。切り株が多少ありますが、地面も多少は平らですので、戦いやすいと思います」


 アイリスから意見があった。


 「んじゃ、そこへ移動しようか。でも、ドラゴンどうやって誘導しようかな?」


 そこへ、リルがバウバウッ! と吠えてきた。


 「ん? リルが誘導してくれるの? 大丈夫?」


 再びバウバウッと鳴くリル。そのまま、森の奥へと駆けていった。


 「それじゃ、リルに甘えて俺らも移動しましょうか」


 シンジと騎士隊の面々は、決戦の地に移動を始めた。

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