第一章6 本の続き
「ヴァァァァ!!」
怪物が両手を振り下ろす……
「ま……て!!」
ドゥゥゥゥゥン!!
目の前がぐるぐると回る……
■
「ここは……どこだ……?」
気づけば俺は、真っ赤な部屋に一人で立っていた。
--友達を救いたいかい?
「なんだ今の声!?ユン……ユンはどうした!?」
--僕は君の中にいる「意志」……まあ言ってもわからないか!!
「早く俺を元に戻してくれ!ユンが……親友が危ないんだ!!」
--まあ落ち着きなって!ここは言わば精神世界ってやつだから、時が進むのがものすごく遅い!
--それに今の君じゃ彼は救えない
「お前が決めることじゃない!俺が守るって決めたんだ!!」
--町の人を一人も救えなかったくせに……?
「……!」
--挙げ句の果てに守られてたくせに?
「くっ!!」
そうだ。みんな死んだんだ……
「(キンじぃも俺らを庇って……)」
--まあ別に僕は貶したくてきたわけじゃないよ?
--君に力をあげよう!あの可愛いハリネズミも倒せる力を!!
「ほ、ほんとか!?じゃあ……」
--おっと!でもこの力は君の体を容赦なく蝕むよ!!それでも大丈夫?
「あたりまえだ……!ユンを守るためなら!」
--よし!決まりだね!やったー!やっと僕はこの力から解放されるよ〜君は絶対後悔するよ!ざんねーん!!ばいばーい!
■
アランの瞳が赤く光る……
ズシャ!!
アランが腹に刺さった大針を抜き取り、怪物の腹に突き刺す。
「ヴァン!!」
怪物が怯んだ隙にアランが背後へ回る。
「アラン!!そんな状態で動いちゃ……」
しかし、アランの血は全て止まっている。いや、違う。ユンの中に疑問が湧いた。
「アラン……じゃない……アイツはだれ……?」
背後に回ったアランは怪物の右手を掴み、
グシャ!
自分の右手の拳に突き刺した。そして、血だらけでグチャグチャの拳で右ストレート……!
ズドン!!
あのときのアランとは違い、鈍い音が鳴った。
「ヴァァァァ!!!?」
なすすべなく吹き飛ばされる怪物。
「(あれはアランじゃない……アランの形をした……バケモノだ……)」
アランの右手の拳からとてつもない量の血が流れる。
「(一番大きな怪我である腹から血が出てないのに……なんで拳からあんな量の血が……!?」
アランが拳解き、手のひらを上にする。
「"血槍"」
アランがそう低くつぶやくと、流れていた血が浮かび上がり……混じり合い……槍の形を生成した。
「ヴァ!!ヴァ!?!?」
怪物が慌てるように逃げ出していく……生存本能だろうか。
「"貫"」
そしてアランが再びつぶやくと……
グシャ!!!
血の槍が目にも止まらぬぬ速さで……怪物の脳天を貫いた。
「ヴァァ……」
血の槍はまた血へと戻った。怪物の頭から吹き出した血と混ざり合い……その場は瞬く間に血の海となった。
「ア、アラン……?」
アランの目は元に戻っていた。
「アラン……君が……いや、君の形をしたバケモノが……僕を助けてくれたよ……」
「そうだな……良かった……」
「良かったじゃ……ちょっ!ちょっと待って!」
そんなユンを無視してアランは怪物の死体へと足を運ぶ。
--血の海の上にたった一人立つ「彼」を人々は称賛し、こう呼びました…
アランはしばらく怪物の死体を眺めていた…
が、キランと怪物の首のあたりの血だまりの中に光るものがある。
荒い呼吸をしながらそれを手に取り…血を拭う…
「なんだ……これ……?」
「アラン!何があったんだ!教えてくれ!あんなバケモノは君じゃない!」
アランはユンの話が聞こえていないのか、無視し続ける。
「まさ……か……!?」
アランの顔が青ざめていく…そしてはっきり中身が見えた。
それは……………………Rの刻印が入ったペンダントだった。
--「血の英雄」と……
とりあえず、第一章完結までは毎日投稿しようと思っています!
よければ評価をお願いします!