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「血の英雄」  作者: 高丘
第一章 人々は彼をこう呼んだ
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第一章6 本の続き

 「ヴァァァァ!!」


 怪物が両手を振り下ろす……


 「ま……て!!」


 ドゥゥゥゥゥン!!


 目の前がぐるぐると回る……



 「ここは……どこだ……?」


 気づけば俺は、真っ赤な部屋に一人で立っていた。

 

 --友達を救いたいかい?


 「なんだ今の声!?ユン……ユンはどうした!?」


 --僕は君の中にいる「意志」……まあ言ってもわからないか!!


 「早く俺を元に戻してくれ!ユンが……親友が危ないんだ!!」


 --まあ落ち着きなって!ここは言わば精神世界ってやつだから、時が進むのがものすごく遅い!


 --それに今の君じゃ彼は救えない


 「お前が決めることじゃない!俺が守るって決めたんだ!!」


 --町の人を一人も救えなかったくせに……?


 「……!」


 --挙げ句の果てに守られてたくせに?


 「くっ!!」


 そうだ。みんな死んだんだ……


 「(キンじぃも俺らを庇って……)」


 --まあ別に僕は貶したくてきたわけじゃないよ?


 --君に力をあげよう!あの可愛いハリネズミも倒せる力を!!


 「ほ、ほんとか!?じゃあ……」


 --おっと!でもこの力は君の体を容赦なく蝕むよ!!それでも大丈夫?


 「あたりまえだ……!ユンを守るためなら!」


 --よし!決まりだね!やったー!やっと僕はこの力から解放されるよ〜君は絶対後悔するよ!ざんねーん!!ばいばーい!



 アランの瞳が赤く光る……


 ズシャ!!


 アランが腹に刺さった大針を抜き取り、怪物の腹に突き刺す。


 「ヴァン!!」


 怪物が怯んだ隙にアランが背後へ回る。


 「アラン!!そんな状態で動いちゃ……」


 しかし、アランの血は全て止まっている。いや、違う。ユンの中に疑問が湧いた。


 「アラン……じゃない……アイツはだれ……?」


 背後に回ったアランは怪物の右手を掴み、


 グシャ!


 自分の右手の拳に突き刺した。そして、血だらけでグチャグチャの拳で右ストレート……!


 ズドン!!


 あのときのアランとは違い、鈍い音が鳴った。


 「ヴァァァァ!!!?」


 なすすべなく吹き飛ばされる怪物。


 「(あれはアランじゃない……アランの形をした……バケモノだ……)」


 アランの右手の拳からとてつもない量の血が流れる。


 「(一番大きな怪我である腹から血が出てないのに……なんで拳からあんな量の血が……!?」


 アランが拳解き、手のひらを上にする。


 「"血槍"」


 アランがそう低くつぶやくと、流れていた血が浮かび上がり……混じり合い……槍の形を生成した。


 「ヴァ!!ヴァ!?!?」


 怪物が慌てるように逃げ出していく……生存本能だろうか。


 「"貫"」


 そしてアランが再びつぶやくと……


 グシャ!!!


 血の槍が目にも止まらぬぬ速さで……怪物の脳天を貫いた。


 「ヴァァ……」


 血の槍はまた血へと戻った。怪物の頭から吹き出した血と混ざり合い……その場は瞬く間に血の海となった。


 「ア、アラン……?」


 アランの目は元に戻っていた。


 「アラン……君が……いや、君の形をしたバケモノが……僕を助けてくれたよ……」


 「そうだな……良かった……」


 「良かったじゃ……ちょっ!ちょっと待って!」


 そんなユンを無視してアランは怪物の死体へと足を運ぶ。



 --血の海の上にたった一人立つ「彼」を人々は称賛し、こう呼びました…



 アランはしばらく怪物の死体を眺めていた…

が、キランと怪物の首のあたりの血だまりの中に光るものがある。


 荒い呼吸をしながらそれを手に取り…血を拭う…

 

 「なんだ……これ……?」


 「アラン!何があったんだ!教えてくれ!あんなバケモノは君じゃない!」


 アランはユンの話が聞こえていないのか、無視し続ける。


 「まさ……か……!?」


 アランの顔が青ざめていく…そしてはっきり中身が見えた。


 それは……………………Rの刻印が入ったペンダントだった。



 --「血の英雄」と……

とりあえず、第一章完結までは毎日投稿しようと思っています!

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