USBメモリが使えないんですけど? alternative
「さて、持ち出すか。」
松崎は、こっそりと持ち込んだUSBメモリを取り出して、PCに取り付けた。
「フォルダを選択して、ドラッグ・アンド・ドロップっと。ふむ?書き込みエラーか。
今まで、試したことなかったが、そういう仕掛けか。」
受け入れ教育の際に、情報の持ち出しは厳禁という説明があったのを思い出した。
「ドライブとして見えてるから、フィルタドライバを追加してあって、書き込みエラーになるように細工がしてあるんだろうな。
フィルタドライバを無効化すれば書けるだろうけど、PCが起動しなくなると困るし。
「先輩。ちょっとlinux系のツールを使いたいですけど、Virtual Box と ubuntu 入れていいっすか?」
松崎は、ちょっと離れた席の社員に声をかけてみた。
「ん?ずいぶん大げさだな。cygwinじゃだめなの?」
「下手に動かなくて悩むぐらいなら、linux の環境の方が間違いないでしょ?」
「それもそうか。ツール申請は出しとけよ」
「はーい」
◆◆◆
やたらと遅いプロキシサーバ経由でダウンロードした Virtual Box と ubuntu をインストールしてからが本番である。
windowsでのUSB経由のドライブがフィルタドライバによって邪魔されるなら、windows を迂回すればいいのである。
「さて、共有フォルダーを設定して、ファイルをVMのローカルにコピーしてっと。
んで、USBメモリを Virtual Box 側に認識させて。」
Virtual Box には、ホストに接続したUSBデバイスをゲストOSに認識させる機能があり、それを使って、USBメモリに書き込むのである。
「よし、ドライブとして認識した。ちょろいぜ。」
かくして、松崎は、技術情報の持ち出しに成功したのであった。