分からないことばっかなんです。
投稿はとにかく不定期ですがどうか見逃してください(涙)
学生なもので(;>_<;)
「っ…そういうんじゃないから。き、気にしないで。」
そう言うと、彼女は走り去っていってしまった。
泣いていたのだろうか。
僕が何かしてしまったのか?
そう考えても思い当たることは一つもない。
というか、彼女とは一度も話していないのだが、彼女は僕に話しかけていたよな。
「分からないことばかりだな、この世界は。」
一人でぼそっと呟いた。
共感してくれる友人も、反論してくれる知り合いも僕にはいない。
一人で色々と思考を巡らせていると一つの本が目に入った。
-分からないことしかないこの世界で。-
タイトルを見た瞬間に、僕の頭のなかに稲妻がはしった。
「そうだ。僕はこういうことを語れる相手がほしいんだ!」
一人で興奮してしまった…
早速さっきの人に会いに行かないと。
そう思ってみたものの、あいにく僕には知り合いがいない。
よって、彼女の名前を知る情報源か無いのだ。
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「神原くん…」
僕が声をかけると神原 涼は驚いたようにめを見開き、少しの間止まっていた。
コイツは僕の苦手な部類に属していて、所謂チャラ男って言うやつだ。
「えっと…なに?」
神原はおずおずとかえしてきた。
「あぁ、ちょっと…この本の持ち主を知らない?女子で顔はわかるんだけど…」
「分からないことしかないこの世界で…あー、コレなら夕夏のだと思うよ。」
聞いたことない名前に僕は少し戸惑った。
そりゃあ僕は人との交流が少ないから面識のない人が多い。
だが、教室にいれば噂話などがたくさん聞こえてくる。
この学年に夕夏という人なんて居たのだろうか…
すると、神原は続けて教えてくれた。
「一年の猪名川 夕夏だよ。少し変わった子だから覚えているよ。顔は可愛いんだけどなぁ…」
「そうか。ありがとう。」
「お、おぅ…」
僕なりの最大限の感謝を表したつもりだったのだが、引かれてしまっただろうか。
まぁ、そんなこと僕には関係無いが。
一年の猪名川…
早速行かないと、この興奮はおさえられない!
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「猪名川さんはこのクラス…」
「あっ、あたしですが。どなたですか?」
出てきてのは本当に可愛らしい子だった。
「この本って…」
僕がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にした。
「何でコレっ…あ、あなた、先輩だったんですね…って!」
さっき外に忘れていったでしょ?
と、声に出そうとした瞬間彼女は僕を廊下に引っ張り出した。
「あのっ、ホントに違うんです。」
「何が?」
この本は彼女の物ではないのだろうか。
そうだとしたらかなりのショックだが。
「さっき泣いてたのはっ!この本に感動しただけなのでっ!」
「あぁ、泣いていたんだっけ。」
「えっ、忘れてました?」
彼女の問いかけに、
「うん。忘れてた。」
と僕が即答すると、彼女は
「言わなきゃよかった…」
と、さらに顔を赤らめた。
「そんなことよりその本についてなんだけど。」
僕が切り出すと彼女はまた泣きそうな顔になった。
表情がコロコロかわって楽しいなと勝手に考えていると、
「私、変ですよね。こんな事誰もわかってくれないと思うんですけど、実際世界ってこの本に書い
てある通り分からないことばっかなんです。少なくとも私にとっては。」
彼女は
「分かんないですよね。」
と、笑いながら言った。
僕はそんな彼女に反論せざるを得なかった。
「そんなことない!この世界は不思議なことだらけだ。人の気持ちなんて分からない。人のために
動くと言っても結局は自己満足だ。親切な自分に酔っているだけ。それを親切と言えるのか?そ
んなことばかりだ。」
僕がそう言うと彼女は驚いたような顔をした。そして次にまた泣きそうになった。
「良かった。私だけじゃないんだ。この世界ってわかんないことばっかなんだ!」
これが僕と彼女の出会いだった。
頑張ります、、、