カーディの町と新しい武器4
もうタメ口でいいか。(主人公)
どうもこんばんは。話数は増えてきてますが肝心の武器がまだ出てこれないので「カーディの町と…」はもう少し続きます。
私のところの冬休みが開けて、学校が始まったので毎日は投稿しないと思います。(それよりも、入試が近いことが理由ですが。)
そこで、私も本来の目的を思い出す。
「あの、ここで魔石を買ってもらうことはできませんか?」
「え、できるけど…」
アイゼは片付けていた手を止めて不思議そうな顔をする。
「?」
「いや、ミカゼって戦闘職だったんだね。違うかと思ってた。」
「……」
私はポカンとしてアイゼを見た。
「私まだ職業とってないよ?」
アイゼにつられてつい丁寧語が抜ける。
「え、そうなの!?」
驚くアイゼに、私はますます頭にハテナを飛ばす。
この少年は始めたばかりのように見えるのに、もう職業を持っているのだろうか。
そう思って聞くと。
「僕?僕は鑑定士だよ。レベルマックスが10の、大したことない職業だけどね。」
「鑑定士……」
「なんなら見てあげようか?今すぐ取れる職業があったら教えられるし。」
「本当?教えて!」
(……もうタメ口でいこう。)
「えーと、
スキル:[直線斬りⅢ][回転斬り][二連斬][胴薙ぎ][飛ぶ斬撃]
すごいね、剣術系ばっかりだ。」
「ゲーム始めてから木剣でモンスター倒すしかやってないから……」
「そうなんだ」
私が苦笑いを浮かべると、そんなはずもないのに、つられたといった感じでアイゼも困ったような笑みを浮かべて答えた。
「ええとね、条件が緩いのはほとんど取れるよ。あと、[直線斬りⅤ]、[二連撃]、それと剣術系のレアスキル一つで、騎士系統の第2段階職、【剣士】になれるから、それでもいいんじゃない」
「第2段階?」
アイゼはステータスウィンドウから自分のメモ欄を呼び出して、私にも見えるよう開示した。
「説明する。職業は各系統、それと凄さの程度で区別されてるんだ。」
メモ欄には、トーナメント表のような、しかし逆ピラミッド型に近い表が書かれていた。
「家系図みたい…」
「たしかにね。これは騎士系統職の部分の表。職業自体はほとんど全部つながってるみたいだからこれが全てじゃないけど。
えーと、まず、一番下の一つが第1段階職の【戦士のたまご】。これは[直線斬り]だけで取れて、最高レベル10、これをカンストすると、転職先に条件なしで【剣士】【槍術士】【弓術士】が選べるようになる。ちなみにこの三つは第2段階職。
同じように、第2段階職もカンストすると、第3段階職が選べるようになる。
これがどんどん続いていって、一番上は最高職の第9段階職。簡単そうな数に聞こえるけど、上の段階に転職するたび最高レベルも増えていくから、第9段階に行くまでに稼ぐレベルは半端じゃないよ。当分そこまで行ける人はいないだろうね。」
「なるほど…よくしってるね。」
「公式サイトとかで結構詳しく書いてあったのと、僕が[鑑定]使って色々調べたものだからね」
そこまで言って、アイゼはメモを閉じた。
「そうなんだ。あ、必ずしも上を選ぶ必要はないんだよね?」
「もちろん。1から順にやる必要もないし、一つの系統にこだわる必要もないよ。取りたい職業があったら、条件調べて揃えて取ればいいしさ。」
アイゼは楽しそうに言った。
「そういえば、なんでアイゼは鑑定士にしたの?1個目だよね?」
「ううん、2個目。」
私は驚く。
「1個目は単に興味惹かれて【調合士】を選んだんだ。一段階職だからすぐにカンストして、今度は色んなこと調べられたらいいと思って【鑑定士】に転職した。」
「上を目指そうとかじゃないんだ…」
「僕はただ楽しみたいだけだからね。そう、それで、今は鍛治屋さんが楽しそうだなと思って、鑑定で手伝いつつ教えて貰ってるんだ。ここの店主の、リーカにさ。」
先ほども名前が出てきていたので私は静かに頷く。
そして、また目的を忘れていたことに気づく。
「そっか。あ、そうだ。魔石を売るんだった。」
「ああっ、そういえば」
すっかり話が脱線していたことに気がついて、私たちは顔を見合わせた。
「結構倒したんだね。弱いモンスターばかりだけど、これだけあればリーカも喜ぶよ。」
アイゼは私が取り出した魔石を一つ一つ鑑定し、値段をつけて行く。
その間私は手持ち無沙汰で、整理の途中だという店内(?)を見回していた。
そして少し経って。
「終わったよ。魔石〔極小〕19個、〔小〕7個、それぞれ70Gと120Gずつで
合計2170Gね。」
アイゼが自分のウィンドウから、投げるように指を動かすと、私の方でピコンと音がなってその代金が所持金に加算されたことを知らせた。
私はほっと息をつく。
「ありがとう。」
やはり少しでもお金があると安心感が違う。
これからは所持金0になんてしないように気をつけようと心に決めた。
…はずだった。