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カーディの町と新しい武器3

一つ前の話の誤字(?)直しました。

HP回復ポーションポーションになってたってね…

(買ってしまった…)

でも思いのほかいい買い物ができた。

私はほくほく顔でマスクを装着すると、脱いでいたフードを被った。

「お役に立てた?」

「あ、はい!」

「良かった。そうだ、武器屋へ行くんだよね?表通りの場所はわかる?」

カナザワがにっこりと笑って私に聞く。

私は首を振った。

(町にも来たばっかりだし)

「そうか。じゃあ俺が案内しよう。」

「!本当ですか、助かります」

「うん、暇してたところだしね。」


カナザワは店の奥から小さな人形の女の子を持ってきて床に置いた。

「それは…?」

「俺のスキル。[店番]」

カナザワがスキル名を唱えると、人形はたちまち大きくなって、人間と変わりない見た目に変化した。

「おお、」

私が人形だった彼女の顔を覗き込むと、彼女はにっこりと笑って首を傾げた。

「何かお探しですか?」

「!」

喋った。

「店番だからね。商売系のスキルで、職業に商人を取るとスキルショップで買えるようになるんだよ。」

「へえ…」

「それじゃあ行こうかミカゼさん。表通りはすぐそこだけど、紹介したい店があるんだ。」

カナザワはそう言いつつ歩き出した。


「紹介したい店って?」

心地よい町の喧騒を聞きながら、私とカナザワは、『道具屋カナザワ』を出てから表通りに通じる十字路を歩く。

「俺の友達が始めたばかりの武器屋だよ。始めたばかりって言っても、ちゃんと一つ一つスキルを使って作った武器を置いてるから、NPCの店よりも良いはずだよ。」

「はあ、」

私は魔石がどれくらいお金になるのかの方が心配だ。

(所持金ゼロだし……)

剣だけはなんとか手に入れないと、何もできなくなってしまう。

もちろん生産職ならば剣は要らないが、それだとポイント条件をどうするかが問題になる。

「うーん…」

「どうかした?」

(いっそ素手でモンスターを倒せるようになれば…)

いや、その前に職業を早く決めないとレベル上げにも移れない。一度、とりたい職業の取得条件を調べに行くのがいいだろうか。

「ミカゼさんー」

「はっ」

知らぬ間に足を止めてしまっていたらしい。

しかし、謝って歩き出そうとした私の足を、ピコンという音が止める。

《PN:light に好かれています。条件ポイントが2から1になりました。》

「ええっ」

(どこっ、だれだれだれ…)

見回して見るがプレイヤーはたくさんいてその人が誰かなんてわからない。

そして、私は不思議そうに私を見ているカナザワに気づいた。

「あっ、すみません考え事をしていて。」

私がそう言って頭を下げると、カナザワは笑ってまた足を踏み出す。

「いいよ、じゃあ行こうか。」

「はい」

(なんで急に好かれたんだろう……?)

ここは表通りの中腹。振り向くと、道の脇にある噴水のある小さな広場が見える。

特に店やなんかもたくさん並んでいるようで、多くの人で賑わっていた。

「……。」

(数打ちゃ当たるってことかな)

使い方は間違っている気がするが、今は気にしないことにして、

私は早足でカナザワについて行った。



「おじゃましまーす」

武器屋まで来たところで、急用ができたというカナザワは店に帰って行った。

(現実でじゃないのかな?お店で?)

少し疑問を抱きつつ、小さな武器屋を覗き込む。

「誰か来たの?」

少しツンとした、少年の声だった。

少年が、店のドアをぐいと開けて私に気づく。薄いレモン色の髪を伸ばした、美しい顔立ちの少年だった。

ただ服は初期装備で、最近に始めたことが予想できる。

「「………」」

しばしお互いを観察して見つめ合ってしまう。


「もしかして…店に用?」

沈黙を破ったのは少年の方だった。

私は頷く。

「えーと、とりあえず入って。」

中学生くらいの少年が押さえてくれたドアをくぐって、小さな店に入る。

そこは、店というより、作業場のようなところだった。

素材や道具が置かれていて、恐らく商品を置くために掛けられた棚には売り物ではなさそうなナイフが一つ。

部屋を照らす灯りは弱く、薄暗い空間が広がっていた。

「座ってよ。」

作業台の脇にあったスツールを引いてから、少年は自分のアイテム庫から取り出したマグカップに、何かの葉をすり潰しながら入れ、同じく取り出した液体を注ぐ。

「[調合]」

カップからわずかな光が溢れて、そして消えた。

「どうぞ。」

「あ、ありがとう」

マグカップを受け取って中を見る。

お茶のようだ。

脳操作なら香りもわかるだろうか。

少年は自分の分も作って、口をつけている。私も飲もうとして気づいた。

(あ、マスク邪魔)

条件も、もう一人なら問題ないので、装備欄からマスクを外す。

「いただきます…」

コントローラーのBボタンでお茶を飲むが、私は飲んでいるという感覚がないので味気ない。

(脳にすれば良かったかな)

飲み終わって少年の顔を見ると、少年は慌てて私から顔を背けた。

「?」

「いや、なんでもっ。カップそこ置いといて。」

置いといてと言われても作業台にはあまりスペースがない。

しかし置いといてと言われたのでなんとかスペースを見つけて置く。


「あのー、」

「あ、ごめん。言い損ねてた。僕はアイゼ。今リーカ居なくてさ。店閉じてたから道具整理しようと思って出したままなんだ。」

少年は苦笑いを浮かべて、その辺にあった道具類を自分のアイテム庫にしまっていく。

「私はミカゼです」

というか

「お店閉じてたんですね…」

リーカというのは店主の名前だろう。

「ああ、いいよいいよ。僕はまだ武器作ったりできないけどできることならやるし。」


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