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カーディの町と新しい武器1

「[直線斬りⅢ]!」

そして、私の木剣に当てられた角兎は光のエフェクトになって弾けると、素材とアイテムを落とす。

私は近づいてアイテムを拾うと、ため息をこぼした。

「武器じゃないかぁ〜」

アイテムは魔石だった。

ドロップアイテムの中で、一番ドロップ率が高く安い。

しかし生産職の人が(生産で使うため)買ってくれるのでお金にはなる。

(武器ってドロップしないのかな?)


私としてはそろそろ真剣が欲しいところであった。


北の森にいたモンスターはほとんど小動物的な小型のモンスターだった。

一番多いのはさっきも倒した角兎。あとは狐のような動物と、角兎と同じくらいの大きさの蜂、ムカデ。

揃って角を生やしていた。

たまに小さめのイノシシのようなモンスターも見るが、怖いので今のところは避けている。


強さは統一して一番最初の私くらいだったが、苦戦して倒すうちに私のスキルも増えてなんとか苦もなく倒せるようになってきた。

だがまだ死にたくはないので、無理だと思った時は逃げるようにしている。

今のスキルはこうだ。

ーーーーーーーーー

スキル:[直線斬りⅢ][回転斬り][二連斬][胴薙ぎ]

ーーーーーーーーー

剣のスキルだから斬る、でいいのだろうけど、木剣だとスパッという切れ味がない。

ギギギという感じだ。

斬撃のダメージより、打撃のダメージのほうが多い気がしてならない。

(初期武器だから耐久値はないんだろうけど…)

使いにくいのは変わらなかった。

「真剣がほしい〜!」


そろそろ町へ行って素材とアイテムを売ったほうがいいだろうか。

そう考えた時。

「キイィィィィィィィィ…」

「えっ!コウモリ!?」

普通のコウモリの二倍くらいあるであろう大きさのコウモリがバサバサと羽を広げながら私の頭上を掠め通った。

そして近くの枝に停まると、私の顔目掛けてその爪を振るう。

この距離で届くはずもないー、と思ったのが運の尽き。

ガシュウという音ともに、私の目には赤いダメージエフェクトが映る。

「マジ、?」

コウモリの爪による斬撃は見事に私の顔の皮膚を抉り取っていた。

視界の端のHPバーは、もともと減っていた事もあって今3割を切った。

(やばいっ)

私は隙を見せないようコウモリと睨み合い、再び斬撃が飛んできたところでその軌道から外れ、勢い良く跳んでコウモリに斬りかかる。

「とど、かないっ」

「キイィィィ!」

私が地面に降りる前にコウモリは二撃目を飛ばす。

私は咄嗟にその軌道に[回転斬り]を被せて弾き返した。が、私の足が地面に着くと同時に柔い木剣は折れてしまう。

「くっ」

私はコントローラーをガチャガチャさせながら考えた。

(どうする、逃げる?)

(いや、逃げたら他のモンスターに出会うかもしれない。そうなったら死ぬ。)

(でも、逃げなかったらどうなる。)

(もう武器もない。飛べる相手に自分の手は届かないし、私は攻撃を避け続けるなんて無理だ)

ふと、足元を見ると、折れた木剣の先には、

〈壊れた木剣〉という表示がされていた。

アイテムなら拾える。

私は急いで〈壊れた木剣〉を拾い、コウモリ目掛けて投げた。

「[直線斬りⅢ]!!!」

もともとHPは高くなかったコウモリは、その衝撃にHPをほとんど削られ、私がコウモリの乗っていた木を蹴りつけると、地面に落下してそのHPを全損させた。

次いで素材がドロップすると、張り詰めていた息を吐いた私の耳に、ピコーンという音が届いた。

《スキル[飛ぶ斬撃]を取得しました。》

「おお」

コウモリを倒したからだろうか。

それとも木剣を投げたから?

どちらにせよ、私は初めてのリーチのある攻撃方法を手に入れたのだ。


「さて、じゃあもう町に…」

コウモリから取れた素材を拾い、そう呟いて立ち上がった私の目に映ったのはこちらを見て目をギラギラさせたモンスター達。

自分の傍らには壊れた木剣。

視界の端に映る真っ赤なHPバー。

「……積んだ?」


私は走った。全速力で走った。

装備は服だけで武器もないこと、AGIがあること、疲れないことで現実で走るより随分速く走ることができた。

それでもたまにモンスターに出くわし、足をかじられながら、攻撃を貰いながら、HPが残り1を切ったところで、ようやく町へ逃げ込むことができ、HPの減少が止まった。

(町は安全地帯らしい…)

しかし、油断して転んだだけで死んだら嫌なので、近くの道具屋に駆け込んだ。

「へいらっしゃい!」

赤髪の、気の良さそうな男性店員の頭上にはプレイヤー特有のHPバーが輝いていて、そこで気づいた。

好感度買っちゃダメなんだった!

(そういえば1時間くらい経ったかな)

急いで条件ポイントを見ると、2ポイント貯まっている。

知らぬ間に2時間もプレイしていたらしい。

「ふぅ、」

だがこれから2人から好感を持たれても問題ない。

少し安心して店員に歩み寄った。

「あのー、」

持っているアイテムを売れるかを聞こうとした。

それから剣やポーションの値段も。

「お、君初期装備だね。初心者?って、今気づいたけどHPどうしたの!?もう切れそうじゃないか。それに顔とか足も傷だらけだし。ちょっと待ってて!ポーションを持ってくる。」

店員は一人で決めて素早く奥に引っ込んで行った。

「……何も言ってないのに。」

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