ゲームの前に2
「よっし」
再びゲーム機をセットして、電源を入れる。
そして『アレキタス・オンライン』を選ぶと、今度こそなんの問題もなくゲームが開いた。
まず、初期設定からだった。
言語を設定し(もともと日本語だった)、日付や時刻の入力をする。
そして次は周りの見え方。二次元に近いものと、現実に近いものだった。どちらも自然の真ん中に立っていて、人間が一人だけ少し離れたところの小屋の前で立っていた。あたりを見回してみて、二次元に近い方に決める。グロいのも嫌だった。
次は音。操作をした時などに、ゲーム特有のポロンとした音が鳴るかならないか。あとは色々な音が常時聞こえるのか、自分に関係ある、または近い音のみ聞こえるか。私は雰囲気が好きだったので、色々な音が常時聞こえる方にした。しかしポロンは鳴ったほうがわかりやすそうだったのでありにした。
そして、BGM。町に入った時、森にいる時。音量も設定できたので、小さめで常時鳴らすことにした。次は会話の仕方。NPCは、頭上の吹き出しをタップして会話するか、話しかけることで会話するかのどちらかで、手間が少ないと思った、話しかけるのほうにした。
プレイヤー同士では、話しかけるか、話しかけられるかで、どちらも話しかけられたほうが答えなければ会話にはならないらしい。まあ現実と同じだ。
しかし、話しかけられたくない人をミュートする、ブロックという機能もあった。
ブロックするか、されるかすると、した人とされた人はお互いに見えなくなるらしい。(しかしいつでも解除可能。)
そしてお次は大事な操作画面。
マップ(初期はまっさら)、ステータス、装備、アイテムなどの項目を、自分で自由に配置していく。
そしてそれらは、必要のないときは閉じておける。
続いて、操作方法を選ばされた。
脳操作か、手操作。
前者怖い。
どちらも、脳「で」操作、手「で」操作という意味だ。
脳操作とは、脳に直接信号を飛ばして操作するというやつである。
現実の体は一切動かさなくていい。というか動かせない。
手操作はそのまま。今の状態でコントローラーによって自分を操作するということである。
脳操作はやったこともないので不安だらけだがコントローラーでの操作なら他のゲームで慣れている。
しかし、コントローラーで操作するのには限界があるが脳操作では思うように体を動かせる…多分。
私は揺れに揺れて、(途中で変えることもできるらしいので)とりあえず手操作で様子を見てみることにした。限界を感じたら脳に切り替えればいい。
そして、やっとゲームが始まる(?)
最初、私は星が降る、藍色の空に閉じ込められていて、目の前には大きなパネルがあった。
見ると、名前(PN)、性別、年齢、種族、職業、技能、スキル、称号というステータスが並んでいて、名前、性別、年齢、種族が設定できるようになっていたので設定する。
ーーーーーーーーー
名前(PN):ミカゼ
性別:女
年齢:15
種族:人間
職業▼: –
技能▼: –
スキル: –
称号: –
ーーーーーーーーー
となった。
職業などはプレイ中に選択できるのだろう。
右下にあった決定ボタンを押すと、続いてCGのマネキンのようなものがパネルに映し出された。
周りには、顔のパーツ、肌の色、髪型や髪の色、目の色などの項目が浮かんでいて、体型をいじれるバーもあった。
キャラメイクである。
まず、脳操作に変更してもあまり違和感が無いように現実の私に似た身長に設定し、体型は、ウエストはやや細めにし、あとは標準。
顔は、コントローラーの時はアクションを起こさない限り普通の表情しかしないが、脳操作になった時に怖いのでなるべく可愛く作る。パッチリとした目に高めの小さな鼻、小さな口。丁度良いバランスで配置して、細かい調整をする。
結果、とんでもない美少女になった。
ただ、触れたら壊れそうな儚げな美しさではなく、元気で、見ていたら自然と笑顔になってしまうような愛らしさがある。
「うふふ」
これならプレイヤーの好感度は高いだろうと、私は密かに微笑んだ。
髪型は悩んだ末に前髪ぱっつんの前下がりボブ。私的に、前下がりボブとフードとの相性は抜群だと思う。めちゃくちゃ可愛い。
そして髪色は、(途中でも変えられるので)まずは初期装備に合うであろう地味目の色…と考えて、薄茶色に決定。目の色は、何にでも合いそうで、とても色の綺麗だった深みのある青色にした。
これでキャラメイクは完成。
決定を押すと、キャラのアバターはそのままに、今度は初期装備を選べるようになった。
思った通り、麻布や安い皮を思わせる、茶色や黄色がかった白の布が使われた地味な、防御力の低い服と靴、そして武器は木の枝を組み合わせた、大して加工せずに作られた申し訳程度の物ばかりだった。
服装は、白の薄いTシャツと膝くらいの長さの茶色いスカートのものと、長袖の白いシャツにベージュの丈の短いワンピースを重ねたもので迷い、後者を選んだ。
それに、三つ選ぶことができた防具から、胸当てと、フード付きのマント、手甲を選び、靴は一択のロングブーツ。
お次は武器だ。
「うーん、正直なんでもいいよね」
将来的にどんなスタイルで戦いたいかによるのかと思うが、私にまだ明確なイメージはない。
「じゃあ無難に木剣で。」
全てを選択して決定をおすと、ピコンという音がなりまたパネルが切り替わった。
私が作ったキャラがくるりと回ってポーズをとる。
めっちゃ可愛い。
『これでよろしいですか?』
決定を押すと、
『それではプレイヤーをアバターに切り替えます。』
という声の後に私の体が光に包まれた。