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ミカゼとアイゼ2

これだけサボっておいてなんですが、続きます


リーカがぐっとこちらに身を乗り出してくる。

「…それってどんな?」

おや?乗り気かな?

私もワクワクしながらアイゼを見つめた。


「…いやいや」

アイゼがやや引き気味に、手のひらを見せてこちらを抑える仕草をする。

「誘ってきたのはミカゼなんだからミカゼが説明してよ!?

僕イベントの概要とか見てないし。」


はっ


「そうだった!!」

「しっかりしてよね、、」

本日何度目かのため息を吐いたアイゼに、私はあははと頭をかいた。


私は正面に座り直したアイゼとリースを相手に、中央ギルドで見てきたイベントの概要を説明する。

今回のイベント、ルールは簡単だ。

基本的にはプレイヤー同士のバトルロイヤルで、時間切れまで生き残るのが大前提として。


「本?」

終了時に持っていた本の数で順位が決まる。

そう説明した私にアイゼが首を傾げる。

「そう!フィールドにスキルブックが隠されてるんだって!終了時まで持っていたパーティーはなんと!一冊につき200〜1000のステータスポイントと、そのスキルブックに書かれているスキルがもらえます!」

「え、なにそれ本当!」

アイゼが思わずと言った感じで立ち上がる。

そりゃそうだ。

レベルが1上がるごとに5ポイント、地道に貯めるはずのステータスポイントが一冊の本で200だぞ。

驚いた顔のアイゼに私はぐっと親指を立ててやる。


「なんというか、思い切ったねぇ」

リーカも意外そうに頷いた。


「多くの人に参加してもらいたいんでしょ」

そう言ったアイゼに

(ね?エントリーして良かったでしょ?)

と得意げに微笑むと嫌そうに目を逸らされた。


「でもその本って数少ないんじゃない?」

「うん。たしかレア度の低いスキルブックが100冊、比較的レアなスキルブックが10冊と、激レアが2冊」

「実質スキルブックの取り合い大会だね」


「でね!でね!いいこと思いついたんだけど」

興奮が抑えきれない私に二人が注目したところで、私は自信満々に言い放った。


「私とアイゼで激レアをゲットしよう!」


やめて。

何言ってんだこいつって目で見ないで。




「あ、装備だっけ?いいよ、任せてちょーだいな」


三人でのイベント概要の解釈が済むと、リーカはそう言ってパチンと指を鳴らす。


「え、いいんですかそんなあっさり」

アイゼの説得に時間がかかり過ぎたせいで少し拍子抜けしてしまう。

「二人ともアバ可愛いからねぇ。喜んで見繕わせてもらうわ」

リーカはうんうんと頷いてから、ちょっとまっててー!と部屋を出ていった。


とりあえずアイゼの顔を覗き見ると、ため息混じりに説明してくれた。

「リーカはサービス開始から装備作りしかしてないからね。多分元からこの機能に期待してて、やってみたら期待以上に楽しかったんだと思う。」


つまり…


「めちゃくちゃ装備好き?」


「まあ、そういうこと。武器、装備作りは断ったところを見たことがないよ。」


ふぉぉぉ


「アイゼーちょっときてー」

「あ、はい」

アイゼがそそくさと立ち上がる。


することもないのでついていってそこを覗くと、そこは倉庫のようだった。

「これ、全部作ったんですか?」

そう呟くと、アイゼになにやら防具を見せていたリーカは目線を上げて答えてくれる。

「お、そうだよー。サービス開始からずっと作ったものを貯めてる。最近は、アイゼのも混じってるけどね」

「へぇぇ、すごい」


ゲームだと装備品といえば〇〇の鎧とかっていうただの文字列で、使わないものは邪魔でしかないような感じがしていたけど、こうして実物のように形として見えると考えも変わってくる。

これは、作品だ。


「ミカゼちゃんもこっちおいで」

感心して立ち止まっていた私を手招くと、ローブを差し出した。

「これは」

それは、フードのついた、膝くらいの長さのローブマントだった。

「最初のころ考えなしに、防御力爆上げ装備として作ったんだ。無料であげても惜しくないし、初心者には丁度いいでしょ」

爆上げ。

その言葉に心惹かれて、早速詳細を開いてみる。

ーーーーーーーーー

〈防御の付与ローブ−紺−〉▲


《詳細》

付与ローブ。一部の付与値が製作時の最高値を超えるため、特殊効果が生まれる。

《効果》

絶対防御▼

VIT(+50)

ーーーーーーーーー

「絶対防御!」

「最初に作ったのが良かったらしくてね」

リーカは悪戯っぽく笑った。


「プレイヤーのレベルが上がって行くと50って値も段々しょぼくなるんだろうけど、作った段階では最高値だったらしくてこんな効果がついたのよ〜」

ーーーーーーーーー

絶対防御▲


《詳細》

自身のVITよりSTRが低いプレイヤーの攻撃を無効化する

ーーーーーーーーー

ほうほう。

「すごいですね!なんか強そうです!」


「…多分だけどわかってないよね」

あ、バレた?


「ちょっとミカゼのステータス見せてよ。」

「うん」

私はローブを装備してから、ステータスウィンドウをアイゼに見せた。

ーーーーーーーーー

名前:ミカゼ

年齢:15

種族:人間

職業:なし

技能▲:

HP:40

MP:20(+15)

STR:30

VIT:20(+50)

AGI:30

DEX:10(+10)

INT:0(+20)

LUC:10

  特殊効果:絶対防御、隠蔽+20、隠密+40

スキル:[雑草除去Ⅲ][直線斬りⅤ][回転斬り][二連斬][胴薙ぎ][飛ぶ斬撃Ⅲ][横薙ぎⅡ][台風の目Ⅱ][足払い][股くぐり][正面突き][槍投げ][後ろ突き][棒回し][棒高跳び][飛び蹴り][回し蹴り][手刀]

   非戦闘スキル:[識別][忍び足][遠視][隠密][認識阻害][探知(小)]

ーーーーーーーーー

「なるほど」

というか、と一息入れてアイゼは意外そうな顔をした。

「まだ職業とってなかったんだね、スキルは結構増えてるけど」

「うっ」


初日にあれだけ説明してもらっておいてなんだか申し訳ない。


「ミカゼって何でもかんでも興奮して面白がるからあの後すぐにでも取るかと思ったのに」

「いやまあ」

私だって職業名乗りたいしレベル上げしたいし?

私もあの後中央ギルドで職業の情報見てみたり、攻略サイトで書いてあることも見たりしたんだけど。


「でもいざ決めるってなると!!直前で迷っちゃうというか。」

わかる?とアイゼを伺うと少し共感したような苦笑が返ってきた。


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