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兄・佐倉風雅

少し番外編みたいな感じになりました。

題名兄ですが兄についてあまり解説はできてないのでまたそういう話も書こうと思います。


これは余談ですがもうすぐ私の卒業式が学校であります。それが終われば春休みですね。たくさんゲームがしたいです


カチャカチャと食器のぶつかる音が鳴る。

父と母は先程から兄の話をしていてつまらない。

「お兄ちゃん醤油とってー」

斜め前に腰掛ける兄に、手を伸ばす。

「ん?ああ、はい。」

「ありがと!」

兄は醤油に手渡してくれた後、再び自分の皿に向き直った。

私は取り皿に醤油を垂らしつつ、家族の顔を伺った。

(うーん、構って欲しい。)


(あ、そうだ!)

私は醤油瓶を置いて焼き魚を箸で食べようとした時に思いついた。

「お兄ちゃんってゲームとか、」

「美風、かけすぎだぞ。」

「…?」

黙って手元を見ると、考え事をしていたせいか私の魚からはかけすぎた醤油がポタポタと垂れていた。




「美風、食器下げてってー」

「あ、はーい」

ご飯が終わり自分の部屋への階段を駆け上がろうとした私は、母に言われて食卓へ戻る。

食器を下げたあと、ふと気になってソファに座って新聞を広げている父に駆け寄った。

驚かせるつもりで、

「わっ」

と後ろから抱きついた。

「わー(棒)」

父はそれがわかっていたようにおよそ求めていないリアクションをする。

(む)

「ねね、何見てるの?」

「別に。ただの新聞」

「ふーん」

頼めば構ってくれそうな気がしたが、続く言葉が思いつかずに諦める。


「お母さん、ゲームしてくるねー」

「どうぞー」


タンタンと階段を駆け上って、自分の部屋へ向かう。

ドアを開いて、

「お兄ちゃん?」

「あっ」

私が買ってきたゲームのパッケージを眺めていた兄と目が合った。


「……何してるの?」

一応言っておくが兄の部屋は別にある。

「あー、悪い。お前がやるっていうゲームが気になって。」

「ああ、」

(ゲーム、そういえば丁度始める時に帰ってきたんだっけ。)

「そんなに気になるならやればいいじゃん。ゲームとか得意でしょ。」

「それほどじゃあないよ。けど、これ面白そうだし、俺もやってみるかな。」

「ハードとソフトは?」

聞くと、お兄ちゃんは恥ずかしそうに笑った。

「持ってる」

兄の肩を小突いた。




朝。

私は久しぶりに早起きをし、出かける支度を整えていた。

服装は動きやすいラフな服装。

手にはビニール袋と長いトング。

「よし、」


玄関で靴を履いていると、兄がコーヒーの入ったマグカップを片手にやってきた。

「おはよう美風。どこか行くのか?」

「うん、今日は近所のゴミ拾い。そういうボランティアがあったでしょ」

休みの日にボランティアに参加するなんて自分でも偉いと思う。

でも言っておく。

私がやるのはゴミ拾いだけです。


「へえ、、俺も行こうかな」

「え?いやいいよ。家でのんびりしてなよ」

帰ってきたばかりなんだし。と思って兄を見るが。

「慈善活動だろ?やりたい人がやるべきだよ」

と、いつのまにかコーヒーを片付けて行く気の様子。

(まあいいか)

ビニール袋を用意する兄を見てそう思った。

…楽しそうだし。



「いやぁ、楽しかった!」

ゴミ拾いの帰りは、お兄ちゃんとショッピングモールに寄ってアイスクリームを食べた。

「帰ったらなにするの?」

気になって聞くと。

「美風のやってるゲームを始めてみるかな」

という。

「おー、じゃあ一緒にログインしよう」

「よっしゃ、楽しみだ」

久々に感じる鬱陶しいくらい一緒に居たがる兄だけど、なにしろイケメンなので格好良く見えてしまう。

(…子供か)



そして現在。アレキタス・オンラインで。

中央ギルド前の広場。

昼間なのでログインしているプレイヤーも多い。

私のアバターの目の前にはログインしたての兄が…。

「お兄ちゃん、じゃなくて、lightライト?それが名前?」

「ああ、テキトーだけど」

私は呆然としていた。

覚えているだろうか。

初っ端から私の条件に反してきた見知らぬプレイヤーを。

「おお、お前かぁぁぁああ!!!」

「えっなにっ」

「いやちょっと待って」

決めつけるのは早い。

ステータス画面で確認できないかと、条件の部分を触ってみる。

《PN:lightに好かれています。

好かれているプレイヤーには、アバターの頭上に、ハートマークが表示されます。》

(ハートマーク…)

よく見ると、たしかに兄のアバターの頭上には、ピンク色のハートが浮いていた。

「まじでか…」

「美風?どうかしたか?」

「…おに、ライト。昨日ログインしてたでしょ。」

「え?なんでわかっ、あっ」

兄は慌てたように口をふさぐ。

私は大きくため息をついた。


「どういうこと?」

「……いやぁ、悪かった。美風がゲーム始めるって言ってたのが気になって、昨日のうちにハードとソフト買いに行って部屋でやってたんだ。美風に会えるかなーと思って。」

この兄は。

「それならやってるって言えばいいでしょ?ストーカーかライトは。」

「悪かったって 。」


結局、ゲームの中ではあまり絡んでこないという約束をさせた。


(せっかく別の自分として楽しめるんだもん。せめて職業が決まるまでくらい、ね。)


でも、結局ログインするたびにくるんだろうなぁ。


でもまあ、これが、うちの兄です。

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