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カーディの町と新しい武器6

少し間が空きました。受験の準備で忙しくなってまいりました。

そのせいでなかなか美風の夜ご飯の時間が来ませんね。

頑張ります。

「お姉ちゃん!」「うん!」

レイレイ達は喜んでその花に近づいた。なんの警戒もせずに。

ルイルイがその花、『癒しの千寿草』を摘み取る。すると、その花の近くにあった大きな岩が途端に姿を変え、巨大なゴーレムとなってに迫ってくる。

二人はその花以外の摘んでいた薬草は(ポーションも入っていた)籠ごと投げ捨て、なんとか持って帰ろうと全速力で走ったが、ルイルイがつまづいて落とした花をゴーレムに奪われてしまった。

そして、花をとってなお、ゴーレムはレイレイ達二人を追ってくる。ルイルイは、自分が囮になるから、今のうちに逃げてとレイレイに言った。自分は必ず花を取り戻して帰るからと。

レイレイは姉の必死の説得に何も言えず、結局泣きながらも無事薬屋へと戻った。


「それで、今に至ると?」

「はい!「すぐに諦めて逃げ帰ってくる。大丈夫」というおばあちゃんの言葉を信じて待っていたのです!でも、朝起きてもルイルイは…」

「……」

おそらく彼女の祖母はとにかく安心させようと必死で、その時の言葉も根拠なく言っていたんだろう。私だって泣きわめく子供を前にしたら、その程度のことしか言えない。

(って、クエストだしそういう設定、ってことなんだろうけど)


私はそのゴーレムとやらと出会ったら、どうやって戦うかを考えつつ、レイレイとともに先を急いだ。




その頃、ルイルイはといえば。


「っぐす、どうしよう…怖いよ、レイレイ…」

森の奥にあった小さな洞窟の中で、一人縮こまっていた。



北の森に入ると、頭の中でピコンと音が鳴った。

《クエストが開始されました。

達成条件は、

・薬草の奪還

・ルイルイの救出[ダメージ50%以下]

・レイレイの護衛[ダメージ20%以下]

です。

なお、職業未取得の場合に限り、ハンデが与えられます。》

なるほど。さっきの話にあったゴーレムは必ずしも倒す必要はないと。

それからハンデ。ありがたい。

「レイレイ、花を見つけたのはどの辺?」

「もっと奥です!案内します!」

レイレイを少しだけ先に走らせて、その後ろを警戒しつつ進む。

何しろ戦う方法は体術のみで、それも初めてなのでどうしてもスキルを獲得しつつやらなければならない。できるだけ戦闘は避けたいところだ。

(どこかに武器が落ちてたら楽なんだけど…)

そう思って辺りを見回すもそう都合のいいことはない。


「この奥です」

そのうちに、目的の場所についた。


ここまで、ありがたいことに(遭遇したら石を投げて怯ませてから全速力で逃げ、遠くに見つけたら出会わないように避けた結果)モンスターとの戦闘は無かったが、私の武器になりそうなものも見つからなかった。

「さて…どうしようか」

二人で木々の間を縫って進んでいく。

「そこ、そこの少し空いたところに、あの花があったんです」

レイレイが指差したところは、確かにいい具合に木々が避けていて日の差している地面が見えていた。


「私が行く。レイレイは隠れてて。」

そう言い残して、私は周りを伺いつつ足を進めた。

「あ、待ってください!これを!モンスターの動きを遅くするポーションです!」

レイレイが焦った様子で小瓶を持った手を伸ばす。

(ハンデってこれか…)

ならば使わない場合、職業のない私では不利になるかもしれない。

「だけど」

「?」

「それはレイレイが持ってて!もしモンスターが来たら使って逃げて」

「ええっ、でも」

「いいから。」

さっきも確認した通り、クエストの達成条件にモンスターの討伐は含まれていない。

ならば、優先すべきはレイレイの安全である。

レイレイが隠れたことを確認して、私はまた歩き出す。

試しに殴ったり蹴る動作をしてみるがスキルの取得はない。

(ダメかなぁ)


そして、花があったという地面を踏む。

「なにも…ない?」

瞬間、何もないはずの私の斜め上から物凄い速度で何かが飛んできた。

幸い、私のAGIでなんとか避けれたが、当たっていたらHPは大幅に削られていただろう。

(モンスター?)

上を見ると、浮かんでいたのかふよふよと降りてくる岩の塊。

いや、岩の塊が組み合わさってできた、人型の何か。

「お姉さん!ゴーレムです!」

先ほど飛んで来たのは私の頭ほどの大きさの丸い岩で、どうやらそのゴーレムの手の部分らしかった。

攻撃が当たらなかったことに気づき、ゴーレムが腕を伸ばすと、まるで磁石のようにその岩はゴーレムの元へ戻っていった。

「レイレイは隠れてて!」

私は次の攻撃が来る前にと、状況の把握に努める。

今のところ、花は見当たらない。周りに武器になりそうなものもない。ゴーレムのレベルは…レベルはない。見えているのはHPのみだった。

(残量420って…私の10倍以上なんだけど)

ともあれ、攻撃してみなければどれくらい強いかもわからない。

試しに近くの石を投げてみたが、普通に当たって跳ね返るだけでダメージはなかった。

「ま、そりゃそうか。」

そして、ゴーレムは再び岩を飛ばしてくる。

余裕で避けていたが、だんだんと攻撃の間が短くなるため、上しか見ていない私は、たまに木にぶつかる。

(うわ…HP減ってる)

「お姉さん!モンスターにポーションを!」

「だいじょーぶ!」

(でも、そろそろ攻撃手段を考えないと)

「ってうわぁ、!」

少し考え事をするとコレだ。

攻撃を避けた拍子に転んだ体制を整えようとする私の目に映った、一つのアイテム。

「これだ!」

次に来た攻撃を転がって避けると、そのアイテム、〈ただの棒〉を拾った。

思った通り、武器として装備できるようだ。

ゴーレムが唸り声を上げる。

私は攻撃を警戒しながら出来る限りゴーレムに近づき、その棒を投げた。

《スキル[槍投げ]を獲得しました。》

「…槍?」


(そういえば棒術と槍術ってなんか似てるんだっけ)

私が投げた棒の行方を見守ると、見事ゴーレムの頭部に直撃していた。

(あれ、胴体のほうがいいんだっけ。心臓?ゴーレムって心臓あるの?)

私は何もわかっていなかった。


「お姉さん!ファイトです!」

レイレイは木陰に隠れつつ私を応援している。

応援している時点で隠れられてるとは思えない。


ただの棒は、ゴーレムに当たったのち無事私の手に返ってくる。

「ダメージはなしか」

しかしゴーレムは怒ったように目を赤くしていた。

(あれっゴーレムに目って…)

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