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何か嫌な予感がする件について…。

読んでいただき本当にありがとうございます!

こういったコメントは久しぶりですね…

ほんと、感謝です!


やっぱり沈黙は気まずいものだ。

修道士や修道女をぞろぞろ引き連れてクリスが聖堂に入ってきた時、喪に服していた僕の細胞達は一気に歓声をあげた。けれどそんな開放感も、一気に消え去った。たわいも無いおしゃべりをしていると思っていたその集団が、もれなく全員パニック状態に陥っていたからだ。


「転生手続きいただきました!さぁ、帰りましょう」


朗らかなクリスのその言葉を聞いた途端、修道士達の阿鼻叫喚はより勢いを増した。


「いけませんクリス様!理由をお教えください!」

「聞いておりません!こんないきなり…」

「貴方が居なくなってしまったら、この教会は終わりです!」


「意外と早かったのね」


柊も平然としている!

二人がさっさと出ていこうとするので、僕も仕方なく付いていった。集団は道を塞いだりなどはしないものの、クリスに向かって様々な引き止めの言葉を叫び続けた。だがクリスは完全無視。


「あと帰りに少し寄って行きたいところがあるのですが、構いませんか?」


もちろん断るはずはない。それより後ろのこの人達何とかしなよ…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「丁度セールしてて良かったですね!かなりお買い得でした」

「こちらの服はとても可愛い。どこのものとも言えない、不思議な文化」


和気あいあいとおしゃべりを楽しむ女子達。いや片方は男子。僕たちは適当な出店で服を購入し、来た時と同じく比較的空いた道を歩いていた。ずっと着いてきていた集団は、クリスのひと睨みですごすごと下がっていった。彼らに驚きが走ったことから、クリスの裏の顔は彼らもまだ知らなかったのだろう。かわいそうに…。クリスに思いを寄せていた若者だって居たはずだ。こいつは男でーす!

僕は両手に紙袋を下げ、少し後ろを行く。なんだこの雑用感…。

意外だったのは、柊とクリスがそれなりに打ち解けていることだ。朝食の時は、思いっきり火花を散らしていた二人だが、今はすっかり仲良し女子だ。片方は男子だ。


「あら、もうSMRの時期ですか。今年は荒れそうですね」


クリスが屋台の柱に貼られたポスターを見て言った。

こちらの世界にも英語はあるのか…。いや、何も言うまい。


「そうだね、最近は新種の開発が盛んだからね。相当激しくなると思うよ。そうだ、今年はエルフんとこから貴族のお坊っちゃんが来るとか来ないとか」


屋台の主人が答えた。話についていけない僕たちを振り返り、クリスが言う。


「SMRというのは、この都市で最も大きなお祭りです。街全体を使って、モンスターを使った競争です。選手が直接上に乗って走るので、かなり危険ですが、それだけ観衆の盛り上がりもすごいんです」


「分かった!(S)ーパー・(M)ンスター・(R)ースか?」


「違います。(S)ーパー・(M)魎・(R)ースです」


「納得行かねぇ!」


なんだ魍魎て。せめて(T)魅魍魎にしてくれ。


「でもお嬢ちゃん、修道女だろ?賭けに参加できねぇのは萎えるだろ…?」


困ったような笑顔の店主。その顔には哀れみが浮かんでいる。賭け、というのは、レースに対する勝ち馬券の様なものだろう。なるほど、たしかに神に仕える身としては、そういうのはあまりよろしく無いのかもしれないな。


「いいえ、今回はガッツリ賭けられますよ」



「おい、それ教会の規則に違反しねぇか?」


「大丈夫です。私今日で修道女辞めましたから」


唖然とする店主をそのままにし、クリスはさっと踵を返す。


「儲けられるといいですね!お互い」


僕はしばらく口が聞けなかった。やっと声をひねり出す。


「おい、それってもしかして…」


「あぁ、はい。さっき辞めたんです」


そりゃ追いかけてくるわ!普通の修道女ならまだしも、クリスは数少ない転生修道女だったという。教会の人々の慌てぶりからして、クリスの立ち位置はかなり重要なポジションだったのだろう。

柊はそんなことはおかまいなしに、今度はSMRへの質問を始めている。たしかに、僕たちの旅に同行するとなれば、教会に通うこともできないが…。

それにしてもクリスの言い方は軽いものだった…。

僕はそれ以上考えるのを辞め、同じくSMRに意識を向ける。ただの会話の一環として登場したこの固有名詞だが…

なんだか伏線の予感!バレッバレの伏線の予感!

危険なんだよね⁈一般人には向いていないよね⁈



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「えぇ!あぁ!んん…はぁ…」


「何ですか気持ち悪い声出さないでくださいよ」


「いや…まあそうなんだけどさ」


別に欲情してるとかそういうわけじゃない。

宿に戻ったら佐久はまだ戻っていなかった。転生したそのままの格好だった僕たちは、とりあえず景色に溶け込むため買ってきた服に着替えようとしたのだが。平然と男子部屋にクリスが入って来たのだ。

つまりこの声は、

えぇ!クリス⁈

あぁ!君男だった。

んん…まぁ問題は無いけどさ…

はぁ…しょうがないか…

という意味が込められている。誤解の無いよう。


「ほら、さっさと着替えますよ。女性陣を待たせるわけにはいきません。伊織さんそれズボン」


「そうだな…っておい!クリス下着まで履いてんのか⁈伊織それ靴下⁈」


「そりゃもちろん。洗濯物だって確認されていましたからね、教会では。伊織さんそれさっき脱いだシャツでは」


「それにしてもよく隠し通したな。協力者はいなかったんだろ?伊織それベッドシーツ?」


「成績が良ければ一人部屋を与えられます。転生修道女も優秀な修道女が任命されるため、自然に一人部屋をいただけたのです。伊織さんそれ私のパンツです」


「大変だったんだな。伊織ちょっと変われ」


「そんなことないです。レオさん十字架頸動脈に刺しますよ」



ラー油の美味しさに目覚めました!

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