エピローグ
『朝日……』
とても、懐かしい……声。
あれから……何年経っただろう。
私はいつのまにか、深い藍色の海の中にいた。
まわりを見渡しても、誰もいない。見上げると、水面がきらきら輝いて見える。
「ねえ……どこにいるの?」
『……』
何も聞こえない。でも、どこかにいる気配がする。
ふいに、辺り一面が花畑に変わった。
このあいだ暁と行った……そのときの景色を思い出す。
花がいっせいに風になびいて、まるで歌っているみたい。
すごく、いい香り……。
……ふと振り返ると……彼の幻を見た。
でも……視界が涙でぼやけて……顔が見えない。
ああ、そうか……。
これは……夢だ。私が望んでる……夢の光景なんだ。
何年経っても……彼は、来ない。
わかってるのに……。
なのに……どうして期待してしまうんだろう。
茶色い髪が……光で金色に輝いて見えた。
左手の小指に、赤にも青緑にも見える指輪をしている。
『……待たせた……?』
彼の手が……私の頬の雫を……そっと拭った。
※改稿前、連載終了時のあとがきです。
ライトノベル好きの親友Nとのある日の会話。
N「小説……私も書いてみるかな」
優「そんな急には書けんよ。どんなにいいアイディアを思いついたって、最後まで書ききるのって大変なんだから」
N「……バリ理系のくせに、何でそんな……」
優「私、中学と高校のとき書いとったもん」
N「嘘だ!」
優「ほんとだよ!」
N「A4たった1枚の報告書でさえひぃひぃ言ってるくらいなのに……」
優「悪かったな……。でもほんとだもん」
N「えー……」
優「じゃあ、昔書いてた話があるから、それを元に書いてみる」
N「マジで?」
優「書いたら、読んでよね!」
……そんなことから生まれたのが、この「想い紡ぐ旅人」です。
N「ここの意味がわからなかった」
N「お母さんとの会話のシーンが欲しい」
N「戦争んとこ省略しすぎ」
……などの指摘を受けて直したのが本作になります。
ちなみに、その後の会話。
N「……」
優「どう?」
N「……思ったより小説になってたけど、ラノベじゃない……」
優「……すみませんね……」
N「……ってか、長くない?」
優「もともと中学のとき超能力ものとして書いて……そのあとちょいちょい書き直して、今回4回目でフルリメイクなんだけど、リメイクするたびに長くなるのって何でだろうね?」
N「知るか! ……ってか、コスりすぎ!」
優「単行本のページ数で言うと650ページぐらいはあるかな……」
N「長すぎ! 2巻分ぐらいあるじゃん!」
優「……だよね……。あ、でも、もう一個ネタあったの思い出したん」
N「もう一個……?」
優「中学で一回書いて、高校のときリメイクしたやつ」
N「またリメイクかい……」
優「今度は短い。短くなるはず。……せっかくだから書いてみようと思ってさ」
N「はぁ……まぁ、頑張って……」
……という訳で、次は“もう少し短い話”――「あの夏の日に」です。
※改稿後のあとがき
説明が多すぎた部分を減らし、1話あたりの分量を押さえて細かく分け、描写を足しました。
だいぶん減らしたはずが、なぜかちょっと字数増えた……。
少しは読みやすくなっているといいな、と思うのですが……。どうでしょう?
暇つぶしになれば、幸いです。
読んでくださった方、ありがとうございました。




