結婚(フェルナンド視点)
読み通り大層な長旅になった。
だが俺は1人ではなかった。
アルドンサを乗せて来た。
何、従者は男でなければならないとは聞いていない。
カスティーリャ王国内の警護を多く潜り抜けて漸くバリャドリッドに着き、イサベルの家来と会ったが、横にいるアルドンサを見るなり渋い顔をされた。
バリャドリッドの一角
「遠路はるばるお疲れ様です…して、その者は…?」
「私の従者だ。1人なら連れてきていいと聞いていたから連れてきたのだ。此処では侍女として働かせたらいいと思ってな」
「やはり従者には帰ってもらいたいです。」
「そうか。侍女の数が足りないわけでもないし、イサベル王女も王女である前に女性であるからなぁ」
チッ。やはりダメだったか。仕方ない。
今後の事を考えるとアルドンサはアラゴンに帰すしかないな。
送迎の馬車にて
「やはり無理だったようだ。アラゴンで達者でいてくれ。すまない…」
「いいのよ。元気な子を産んで貴方が来るのを楽しみにしているわ」
そしてバリャドリッドの邸に入り、歓待を受けた。
イサベルの側近や護衛騎士と談笑するが、イサベルが当の見あたらない。
広間
「それで、イサベルは?」
「お呼びします。此処で待っていて下さい」
先ほど俺に苦言を呈したあの従者が彼女を連れてきた。
チャコン→イサベル
「此方がアラゴン王太子兼シチリア国王のフェルナンド様です。」
チャコン→フェルナンド
「此方がレオン=カスティーリャ王女のイサベル様です。」
紹介された所で2人にされ、俺はイサベルと彼女の私室で話す事になった。
「カスティーリャには馴染んでいただけましたか、シチリアの陛下?」
この王女は礼儀正しく聡明ないでたちで、アラゴンでは珍しい金髪に色白の肌。
容貌は完璧だ!
広間に戻った俺達は婚約を宣言した後、その数日後結婚式に臨んだ。
王女の兄である国王エンリケ4世たちの賛成は得られておらず、当然式は細やか且つ内密に行われた。
初夜、夜の帳の中で何度もキスをし、行為に及んだ後、穏やかに時間を過ごした。
手慣れた風に見せないよう細心の注意を払って臨み、俺はイサベルにアルドンサとは違う魅力を感じた。
さて、カスティーリャ国内で如何にアラゴンの為に動けるかが大事になるな。
カタルーニャの事が気にかかるが、俺は人質
好き勝手に動き回れないわけだ。