1節 想いは迸り突き抜ける14
クリシュニとコメクニは果敢に敵へ肉薄する。それを傍目で見るセイマリアこと聖は、弱々しい声を漏らす。
「アレが……〝殺し合い〟……」
『というよりも、手慣れた者達の〝戦い〟と見るべきだろう。危険を恐れず、顧みず。一切の迷いも容赦も無く畳み掛けている。かといって、力任せの乱雑さは無い。敵の電撃に対して有効打を模索しながらある。普通は様子見等をする筈だが……様子を見る暇があるなら殺した方が手堅いといった所か。最初も頭部を吹き飛ばす辺り、リアリストだな。何度戦いを経験すればあそこ迄思いっ切りが良くなるやら』
「アナ……俺は……」
『気に病むな。得意不得意はある。――だからこそ、聖の居場所は無いのだろうな……』
想い人を抱え、背を向け走る聖女。かたや敵と相対する聖女は決して背を向けず進み続ける。
放たれる稲光の奔流を搔い潜り、コメクニが再度懐に潜り込んで蹴り上げる、宙を舞う女のその上を、急降下するクリシュニがライフルを槍の様にして叩き付ける。それと同時に接射。弾丸を撃ちながら突き進み、その下で回し蹴り上げする虎の聖女の蹴りと交差した――――。
「――此方コメクニ。敵ヘルティガンディを殲滅完了しました」
『此方司令部。確認しました、お疲れ様です。報告によると、特異なヘルティガンディだった様ですが、遺体の回収は出来る状態ですか?』
「それなんですが、中々の強敵でして。身体は完全に粉砕してしまいました。幾分か残ってますか……」
『分かりました。回収班には対応した準備をさせておきます。コメクニ、クリシュニは帰還して下さい』
「コメクニ、了解。坊、帰りますよ」
「ああ。――…………」
「代羽殿は、他の者に任せましょう」




