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1節 想いは迸り突き抜ける12
「「『!!?」」』
稲光の音が微かに奔る。両者共に音の方向を振り向くと、彼方より弾丸が飛来してヘルティガンディの死体に着弾した。
「っく! 坊!!」
着弾と同時に電流が迸る。無造作な放射線状に広がる放電は、美術館の壁や照明を吹き飛ばす。それを抑え込むと言わんばかりに弾丸の雨が敵に降り注ぐ。舞い上がる粉塵と電流が、着弾音と電気の音が入り乱れる。
天井の穴より、赤と緑と白のギアマリアが飛来――――クリシュニだ。着地当時に、半身で左手に持った巨大なライフルを構える。その平たく薄い胸の向こうで、死体だったヘルティガンディはゆっくりと起き上がるのをセイマリアは目撃した。
「っく……!」
「あ、代羽殿とアナ殿はそこで休んでて下さい。アレは私と坊がお相手します」
「コメクニ。先手頼む」
「任されました」
事実上の戦力外通知。それを無意識に察した聖は、起き上がると飛び出し、回り道して寝転ぶ果楠の救出に向かう。
「おおっと!? 代羽殿!?」
「アレは仕方ない……動くぞ」
「ボーイミーツガールですな……――〝徒喇虎々〟!!」




