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1節 想いは迸り突き抜ける4
「何だアレ……」
「〝骸の宝剣〟……鯨の骨から削り出した骨剣に、金銀宝石をあしらった美術品だ。そのデザイン性の高さは勿論、使用された金銀宝石から非常に高価な美術品として有名だ。……この美術館の展覧会の目玉でもあるな」
「何するつもりだ……」
「何をするっておま……――まぁ、盗むんじゃないか……?」
「こんな白昼堂々で!?」
聖の反応も虚しく、ヘルティガンディは僅かに発光を強めると、人々を避けてショーケースを破り、剣を奪った。
「能力を使って、来場者と警報システムを欺いてるといった具合か……恐ろしく狡猾な手法。吾輩でなきゃ見逃しちゃうね」
「言ってる場合か。変身すっぞ!」
「此方も白昼堂々だな……ヨシ!」
「クロスアップ!!!」
聖は腕を組んで変身、アナと合体して豊満な肉体の白聖女セイマリアと為す。そのまますかさずヘルティガンディ――敵へと近付く。
「――おい。ヘルティガンディ。その剣を戻せよ」
『……は?』
『高エネルギー反応!!』
「っく!?」




