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1節 想いは迸り突き抜ける2

 人々で溢れ返る美術館。壁には抽象的なものから印象的なもの。逆に具体的なものと大小様々な絵画から、通路の中央には形容し難い姿の彫刻や鋳像が並んでいた。


 それらの美術品を、留華果楠は目を輝かせていた。


「うわぁぁぁあああ!」


 無垢な子供の様に果楠は震える。堪らず聖に目線を向けると、聖もにこやかに返す。


「うわぁぁぁあああ!!」


 興奮が止まらない。


「うわぁぁぁあああ!!!」


 両手で顔を抑え、もはや情緒不安定だった。


「良かった。果楠が喜んでくれて良かった」

(可愛い)


 内心思う聖の横で、アナがしたり顔で前に出た。


「そうであろう、そうであろう。今話題の美術館。しかも開館記念で話題の作家の美術品が沢山。そして子供吾輩は入場料が無料のオマケ付き。チケットを手に入れた甲斐があったものよ」

「本当にありがとうございます、アナちゃん!」

「うむ。礼には及ばんよ。そうだ、これは果楠によよ喜んで貰う為であり、ゆゆゆ故に礼には――」


 バグった機械の様にギクシャクし出す幼女に果楠は困惑する。どうしたんですか――そう言いながら聖に目線を向けて問い掛けると、聖も寂しげな表情を浮かべる。


「あ~…………本当は3等の神戸牛のセットが欲しくてな。それを外したのが悔しくて、外したのは運が悪かったんじゃなくて、果楠の為に神戸牛を外したんだって思い込み始めてて……」

「何か……ごめんなさい……」

「良いよ、気にしないで。楽しんで来なよ。……ちょっとトイレ行って来るっ!」

「はい、いってらっしゃい」




 急いでトイレに駆け込んで用を足した聖は館内に戻ると、目の前を薄っすら光るギアマリアが悠々と歩いていた。


「ブッッッ!?」

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