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4節 白く、青く、疾い御業3

 上から流星群の如く迫り来る青ざめた群狼のベイバビロン。急勾配の山肌にへばり付くベイバビロン・セインティア。


『今回の武装は数と使い勝手を考慮してハンドアックスとショットガンだ。足場が悪いからバランス調整は此方でやる。聖は周りを見渡しながら戦ってくれ』

「分かった!!」


 手と脚に力を入れ、右側にベイバビロンを跳ばす。襲い掛かる群れを回避すると、両手に光が灯り、前腕程の大きさと斧と銃が出現する。


「っく! アナがバランス取るって言っても……腰と脚が、姿勢がキツイ!!」

『吾輩が足回りを扱うから其方は撃つ事を意識しろ!! 余計な事を感じるな!!』

「酷いぞ!!」


 弱音混じりで苦虫を嚙み潰した顔を上げる聖。意識を上半身に、武器で狙う相手に見定めて攻撃する。上下から襲い掛かる狼達を散弾で撃ち飛ばし、斧で切り払う。更に背後から狼達が襲い掛かり、斧で薙ぎ払う。1匹は叩き落すも、もう1匹には時間差で当たらず噛み付かれる。


「だぁっ! っくっそ!!」


 肩に噛み付く害獣を振り払おうと武器を叩き付ける。散弾銃での接射、斧の一撃。ようやく離れた頃には視界の限りを狼が埋め尽くす。


『囲まれた!!』

「うざい!! 面倒だ!! 果楠!! 果楠に帰る!!!」

『果楠信者過激派うるさいぞ! 何をするつもりだ!?』

「危ないなら逃げろって言われてたんだ!! さっきみたいに無理矢理抜ける!! 山に沢山いるなら()から逃げればいいだろ!!」

『おい待て!!』


 アナの静止を振り切って飛び立つベイバビロン・セインティア。腰のブースターがけたたましく噴煙を撒き散らしながら大空を切り裂き昇ると、上空彼方から狼の流星群が降り注ぐ。


 聖は咄嗟にロザリオフィールドを展開。数匹の猛攻を弾いて防ぐも、圧倒的物量に結界を押し破られ、山肌に引き戻される。自身を埋め尽くす肉食獣を再度のフィールド展開で脱出するが、周囲を見渡せば機械狼の包囲網が出来上がっていた。


『言わんこっちゃない。反応はあったぞ!!』

「クッソクッソ!!」


 苛立ちを漏らしつつ再度構え直す。迫る狼達を避けては反撃。だが、先程よりも大量の群れからの連携はより苛烈を極めた。一方向からの時間差のある波状攻撃は一網打尽も回避もし難く、山肌を下ろうにも目の前で密集して行く手を阻む。


(一気に攻めてくれれば纏めてフィールドで吹き飛ばして突っ切れるのに! 目の前を塞いで止まるから調子が崩される!! 動けない…………このままじゃ時間が……テオシスライド、ベイバビロンが解ける!!)


 時間制限付きの火事場の馬鹿力ともいえるテオシスライド。特にギアマリアとしての素質が低い聖のテオシスライドは、造り出されるベイバビロン・セインティアも相応の劣化を強いられる。特筆すべきは機体の稼働時間。やがては光の塵に還る巨人は、聖のセインティアだと従来のものよりも遥かに早い。根競べになってるこの状況は、絶対的敗北を宣言されたも同然なのだ。


(空も駄目、下も駄目、賭けに出るのも許さない!! デカい魚の鱗取りで残してないかチマチマ探してる気分だ……!)

『聖……賭けを(ぼうけん)してみるか?』

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