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3節 青白く、恐怖はもたらされる7

公募出して落ちましたでございませう

 アナの調整による暗視機能によって薄暗くも認識出来る暗黒。振り返った先にあったのは、見開いた眼で此方に鎌を振り上げるペイルライダー。先程は余裕の態度で話し掛けていた死神めいた少女は、今や血相を変えて奪取されたプランターを取り返そうと躍起になっている。


 ペイルライダーの困り顔ともいえる表情。瞬間ではあるが、セイマリア自身が相手に勝っている状況なのだと理解した瞬間、白聖女は思わず堪らず、笑みが零れた。


『聖! 愉悦する暇無いぞ!』

「っは!」


 アナの声で正気に戻った聖。焦点を合わせれば既に鎌は振るわれるのを横目に取れると、近付く切っ先に手を合わせた――。


『聖! それプランター!!』

「あっ!!!?」


 咄嗟の状況と手に硬質な感触故、武器と誤って聖は思わず死守すべきプランターで攻撃を防いだ。重く鋭い一撃により、手の平大に収まるプランターは砕け――――散らず、床に叩きつけられながらバウンドして遠くへ飛んで行った。


 両者、咄嗟に走り出すと。ペイルライダーの首の毛皮から狼が複数放たれ、セイマリアの顔に飛び掛かる。


「うわっぷ! ――っく!」


 寸ででセイマリアは腕で庇って直撃を避け、スタングレネードを取り出すと空いた手でプランター目掛けて投げ付けた。ペイルライダーがプランターを拾うその時、スタングレネードが玉突きしながら入れ替わる様にプランターを弾き飛ばし、青聖女の目の前で炸裂して閃光と爆音が一帯を埋め尽くした。


 事前に感覚遮断していたセイマリアは、相手が怯んだ隙に狼の呪縛を振り切ってプランターを確保。踵を返すとペイルライダーは迫っていた。


(鎌の刃が届く! 潜り抜けていけば、後はフィールドで弾けば帰れる!!)


 咄嗟に動きを思い付いた聖は、少しでも成功率を上げる為に脚に力を込めた――時、ペイルライダーの首に巻いた毛皮から狼の群れが弾幕の如く飛び出した。


(近い! 広い! 躱せないっ!?)


 ――盾では数に押し倒される。

 ――武器を出しても薙ぎ払い切れない。

 ――フィールドで防いでも時間差で攻撃される。


 無意識に幾つもの対策を張り巡らせるも、自信の無さを表す様に打ち負ける未来しか思いつかない――否。


負けても死なない(・・・・・・・・)なら終わりじゃない(・・・・・・・・・)!!)


 意を決した少年は、暗闇を見据えて歯を噛み締め前へ飛び出す。両手にプランターを持って迫る群狼、怯えず聖は声を張る。


「ロザリオフィールドぉおっっっ!!」


 雄叫びと共に放たれる光の十字連帯(じゅうじれんたい)。鞭の様に広がる神々しい結界は狼達を薙ぎ払い、セイマリアは第一波を突破した――矢先、自身の左側から鋭い一閃が迫った。



 脳裏に過る、アンドロイドのエッちゃんの教え。

(――ギアマリアの攻撃は強力です。一方で、身体も体感し辛いですが頑強ではあります)

「っちぃい!!」


 右手にプランターを持ち、左手にナイフを出し持ち、攻撃に合わせて振り上げた。


 暗闇に響く重く鈍い金属音。攻撃でナイフは砕け、指は千切れ折れ曲がり、手は引き裂かれた――が、セイマリアは敵の鎌を弾き逸らして凌ぎ切る。


「ぬぉぉおおおおおおお!!!」


 奔る激痛を雄々しい叫びで掻き消し、聖は脚を蹴り上げペイルライダーに突っ込み、豊満な爆乳――巨大な脂肪の鈍器を敵の顔面に叩き込んだ。


「ぶファッ!?」

「うわっぷ!?」


 気が抜けた声を上げながら、両者重なり合いながら倒れ込む。しかしセイマリアは、ペイルライダーをすぐさま足蹴りしながら起き上がってその場を離れる。背後から追手の狼を放たれても、意地と根性で脱兎の如く走り出入口へ駆け込む。入った瞬間、聖杯を口で咥え、空いた右手からヘブンズラック内の爆弾を全て放出。起爆させて周辺を吹き飛ばし、出入口を瓦礫で塞いだ。


 出遅れたペイルライダーは出入口だった(・・・)場所に駆け寄ると、大鎌を両手に持って構えて力を籠めて大回転。全方位を巻き込む強烈な斬撃により瓦礫と壁を切り裂き飛ばすも、一撃だけでは道を開ける事は叶わなかった。


クソったれ(ツァ)ッッッ!!」


 白い雑魚(てき)を取り逃がした苛立ちで瓦礫をけ飛ばすと、首元の毛皮から細長い金属板が幾つも出て来て顔を覆って仮面を形成。目元に肉食獣の牙を思わせるジグザクの赤い光が灯る。振り返って十字を切った。


「――――シーケンス〝グレイス・モード〟」

気兼ねなく、感想、レビュー、書いても構いませんよ? さささ、どうぞどうぞ。


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