1節 征く為に言葉は贈られる7
アナ「ダイジェストはまだまだ続いちゃうんだなァ、コレが!」
後日。セイマリアとなった聖と代行者はスパーリングをしていた。しかし、生身の時よりも早く、それも瞬時にセイマリアは腹部に拳の一撃を食らってダウンする。
「痛っ!!!」
『聖様がギアマリア形態でも私に勝てない理由は2つ。1つは、そもそもの身体の使い方が不十分である事。もう1つはギアマリアの身体能力に思考や技術と言った加減が出来てない事です。基礎と応用、それらを十二分に身に付けなければ意味がありません。それは、消耗が激しいギアマリアの姿よりも、生身で直接覚えた方が良いでしょう』
「チクショウ……」
「プギャー! 聖、完全敗北~!」
煽るアナに内心、聖は怒りをたぎらせた。
◇
『今日のトレーニングは懸垂です。自分の身体を持ち上げられる様にしましょう』
そう言って代行者は、U字に折り曲げて中心部にタオルを巻いた細長い鉄板を逆向きに両手で持って上に掲げると、聖にそれを掴む様に指示した。
「ぐ……うおっ!」
聖は腕に力を込めて自身の身体を持ち上げるも、想像以上の負担が上半身に襲い掛かった。
『上腕のみならず、肘や方、背中と腹部といった上半身全体を意識し使う様にすると、多少はやり易く、また効果的でもあります』
「そうは、言われても……!」
慣れぬ運動に堪らず身体を下ろしてしまうが、足の裏に突如激痛が走った。
「痛ッ!?」
「聖ぃ! 鈍いと足裏を叩く刑だぞ!!」
アナは意気揚々と言うと、聖の足裏に平手打ちを叩き込む。痛みに耐えかねた聖は身体も起こすも、そこで代行者は更に一言物申す。
『そこで姿勢をキープして下さい。可能な限り、自身の身体を持ち上げ続けて下さい』
「下ろした瞬間に吾輩の聖拳を叩き込んでやる! ホレホレホレホレホレホレ!!」
「遊ぶなぁぁぁあああ~!」
◇
壁に設置された、黒点と複数の輪が描かれた丸い的。向こう側には聖が模擬弾を装填した銃を腰に構えて立つ聖がいた。引き金を引くと、発射された弾丸は的の中心の黒点に命中した。
『命中です』
「……はぁ。コレで確か……20発目?」
『18発目です』
「聖、今の射撃の発射姿勢は記録した。これからは、先程から記録した幾つもの構えを素早く取って銃を撃つ訓練だな。構えを身体に叩き込むぞ。次、左に3、下に1だ。吾輩の指示にも対応するのだぞ」




