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6節 黒く白く交われば8

 気が遠くなる時間を歩いた果て、暗い路を機械の巨人が歩いていた。3m程だろうか、大きい様で、小さくない。1機、2機、3機――そして、暗闇から幾つもの足音が木霊すのを、物陰から顔を出すギアマリア2人は聞き取った。


「どーするよ……」

「周囲は狭く、数も多い……――強行突破しかないだろう」

『身体出た瞬間、終わったわ』

「敵が多くて進めるかぁコレ?」

『周りは暗くて進めない。しかも、敵が強くてお亡くなりだぞ』

「もう俺弾薬(たま)無いんだけど……」

「だから節約しろと何度も言っていただろうっ。道中の同型機相手に使い過ぎだ」

『定期、定期、定期的に、聖、説教』

「内外うるさいぞ! 分かった!! 俺が悪かった!!!」

『リコーダーみたいな音鳴らしてやる』

「とにかく、むざむざ相手する必要はない。強行突破とはそういうものだ」

「了ー解。アナはリコーダーうるさい。チーンて合図しない!」

「行くぞ!」


 両者一斉に飛び出した。疾走する2名を機械兵は感知。振り向いた直後の顔面に、聖女達は飛び蹴りを叩き込んでそのまま飛び越えた。次々と襲い掛かる機械巨人達。振り下ろされる剛腕を時にはかわし、時には受け流す。セイマリアはなけなしの銃火器を取り出しては、腰に構えて乱射する。対して黒マリアは両手から光を灯すと、轟音と共にビームを放って敵機を破砕する。


(最初は本気じゃなかったってかぁ!?)

「足を止めるな! 走れ!!」

「はいはいはーい!!!」

『定期、定期、定期的に、言われる、聖』

「やかましい!!」


内外からヤジを飛ばされる聖は、力の限り床を蹴った。四肢が引き千切れんばかりに振って走る。


『前方500m先に扉探知』

「扉開けてる暇無いぞ!?」

「――〝浄陽子雷弾拳(ソル・トーピイドー)〟!!」


黒マリアが両拳にビームを灯すと、回転し出して手から放たれた。2発の拳状の光の魚雷は暗闇を煌めきながら流星の如く飛んで扉に着弾。一帯を飲み込む様に明るくするも、扉は健在。


壊れ(きい)てないぞ!?」

「なら! シーケンス、〝グレイスモード〟!!」


黒マリアは十字を切る。全身が仄かに輝いた。


「掴まれ! ブチ破る!!」

「はいよ!!」

「シフト、〝サクラメント〟!!」


セイマリアに飛び付かれた黒マリアは光り輝く。その全身は、セイマリアを巻き込んで黒い鎧に包まれた。両手の爪先は、岩塩の様に白く澄んでいる。


「〝天は響いて、地は溢れる。地は醸して、天は啼く。清く、眩しく、眼の奥底。仔らは下がらず淵の彼方よ〟!!」


両手を組むと、岩塩は溢れて両前腕を包み込む。唄は謳われた。


『〝堕都、共に滅ぶべしソングタル・パーニッシャン〟ッッッ!!!!』


黒マリアは光となって急加速、周囲を吹き飛ばしながら扉を貫いた――。

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