6節 黒く白く交われば3
お ま た せ。初更新
暗い空間に忽然と存在する無機質な超巨大物体。その側面をクライミングする、白い装束で金髪サイドテール爆乳の美女、セイマリア。
「クソ……胸が引っ掛かる……!」
『上手く身体を浮かしながらよじ登れよ、聖』
「分かってるーってのぉ~!!」
少女アナの声が響く。密着すると胸が潰される。それに伴う摩擦と引っ掛かりが動きを阻害する。故に腰を曲げて四足歩行めいた、無茶な姿勢のまま力任せに強引に登って行き、遂に頂上の一帯に辿り着く。
「ふ~。疲れたぁ~!!」
『ご苦労である』
腰に負担を強いたセイマリアは、大きく身体を逸らす。豊満な胸が揺れ、金髪の左サイドテールも垂れる。
「アナ。出入口は見付けた?」
『外壁同様、ここにも無いな』
「じゃあ……――何処か壊して入るしかないか……ベイバビロンになって、無理矢理ブチ抜くか……」
『良い判断だが、場所が悪いな。ここは山脈の奥深くの地下空間。下手に暴れて崩落すれば、生き埋めが勿論、何より環境破壊に繋がる。アルプス山脈が〝アルプス平原〟……――いや、雪解け水も相まって〝アルプス湿地帯〟に早変わりだ。断固拒否する』
「その心は?」
『アルプス山脈の清流には〝騎士の影〟と呼ばれる岩魚が生息してるらしい。その上質な身は、淡水魚として最上級だとか。……塩だ! 生でも食べたい!!』
「寄生虫いるぞ……?」
『無機物の吾輩には効かぬ』
「そいつは羨ましいや……」
アナの変わらずの食欲に、聖は思わず空笑い。聖自身も、周囲を気にせず強硬手段出ようとしてた事に自嘲も交えていた。登った疲れで聖ことセイマリアは屈んで膝を抱える。豊満な胸を圧し潰しながら座り込み、茫然と床を見渡した。
「――――護瑞はさ、お母さんの摩耶さんを護る為にお父さんのギアマリアを継いだんだって。確か10歳の時」
『1ヶ月前の前回に言いそびれていたな。ギアマリアならぬロリマリアか……? はたまた、ギアロリアか……』
「俺は…………――――出来るかな……そういうの……」
疲れた声で聖は呟く。見詰めた先に遠くまで広がる一面が、護瑞の覚悟の表れを現してるかの様に思えた。護瑞だけではない。聖教守護者団全員が、覚悟して臨んでいる。それこそ、一般人ですら敵なら、容赦なく攻撃する程に。
残忍だろうと、聖は思う。一方で、納得する自分もいた。実体験故に。
「他の人達なら、関係なく壊すんだろうな……」
『――り! 聖!!』
「お、おう! 何だアナ!?」
『後ろに敵だ!!』
「え?」
不意に振り返ると、謎の黒いギアマリアが、真後ろからセイマリアを見下ろしていた。




