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5節 大いなる力は来れり5
「ぬッ!?」
殺気を注ぐ穴の方に剣の腹を向けると、攻撃が当たる。更に一撃、二撃、三撃。絶えず攻撃――射撃が降り注ぐ。赤騎士は堪らずその場から離脱すると、穴よりギアマリアが舞い降りた。赤、緑、白のギアマリア――クリシュニである。
「救援? まあいいわ。纏めて焼き斬るだけよ」
「……その様子……セイマリアに、面倒を見せられたと見える。いい気味だな」
「……へえ~え? ――ああ、そう。人を騙す卑劣者の次は、人を不意打ちしては挑発する卑劣者。良くない方法ばかりして、それが聖職者の立ち振る舞い? いや、寧ろ聖職者らしいと褒め称えるべきかしら? そうね、褒めて挙げましょう。だから――」
「長い」
饒舌の赤騎士を一言で一蹴。同時に、横たわるセイマリアを一蹴して炎陣の囲いの向こうへと追い出す。
「……無駄に喋って胸もデカい。あのセイマリアと同じだ。炎の様に、灰燼も跡形も無く尽きてしまえ」
クリシュニは瞬時にライフルを左に構え、有無を言わさず高速連射の狙撃を放った。




