5節 大いなる力は来れり3
眼前にまで迫るレッドライダー。獅子よりも鋭く恐ろしい牙が、炎を纏って身体を襲う。
「フィールドッ!」
左から斬り上げ。これをフィールドで逸らすも、相手は踏み込んで左斬り下ろし。咄嗟に手に持ったマシンガンを掃射すると、レッドライダーは防御を優先し、返す刃を引き寄せて盾代わりにしガード。銃弾は、フライパンに垂らされた水滴の様に、ジュウジュウと音を立てて溶けて消えた。
『金属製の銃弾がアッサリ溶けたぞ。高出力かつ高質量の物体でも無いと、熱の前に何物も無意味だぞ』
「て言っても、斬っても逆に斬り溶かされる……!!」
再びマシンガンを撃って距離を取り体制を立て直す。
(防御するには効くんだよな……?)
攻略法を導き出そうと時間を稼ぐセイマリア。だが、レッドライダーは大剣を床に突き刺した。
「だらっしゃぁぁぁあああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
怒号と共に剣を振り上げる。割れた石畳の瓦礫と共に放たれる豪炎により、小さな瓦礫は溶けて溶岩と化し、大きな瓦礫は燃える砲弾と化す。炎、礫、液体。3種の濁流の如き攻撃は放射線状に広がり、セイマリアは照らされながら覆い尽くされる。
(広過ぎる!? 避け切れない!! フィールド)
十字が数珠が連なるロザリオフィールドに攻撃が直撃。閃光に呑み込まれ、セイマリアはその場に抑え込まれる。フィールドの展開限界時間に到達して解除され、熱気がセイマリアを炙るその時、光を押し退けて赤騎士が肉薄した。
(フィールド――)
『まだ使えない!!』
「〝80m対機装聖女火焔溶徹斬波断〟ぁああ!!!!!」
振り下ろされた大剣から放たれる巨大な炎の斬撃は、天高く、地深く、森の向こうまで届き、天地、森、遺跡ごとセイマリアの左半身を両断した。




