4節 祈り誉れる者達7
聞くに堪えない、息苦しい汚声で呟くは、一撃への決意と祈り。
セイマリアは十字架状の装置を右脚に装着。装置は展開し、十字架が連なったロザリオフィールドが聖女の周囲を取り囲み、跳躍した。
『聖! 〝クロスレイドキック〟は、相手をフィールドで捕まえてから蹴らないと強過ぎるぞ!? 空間の歪みの奔流を直に叩き込む、さながら〝ブラックホールが自らが飛び蹴り〟する様なもの――――』
アナの心配は聖に届いていなかった。
『いよっしゃ聖ィイ!! ならばそのまま構うな!! あのペチャパイ気取り野郎をブチ殺せぇえ~~!! 〝絶界へと葬る聖光環旋襲脚〟だあぁ!!!』
「クロスレイドキィィィィェェェエエエアあああああああックッッッ!!!!!」
ロザリオフィールドが螺旋を描き、クリシュニ目掛けてミサイルの如く突き進む。対してクリシュニも起き上がると、ボロボロの腕で十字を切る。
「〝順天、加持解脱〟! 〝転域、顕現降魔〟」
クリシュニの身体からロザリオフィールドが展開されて光り輝き始める。輝きが聖女の身体を覆い尽くし、その両腕は刃で出来た巨大な翼と化した。
「聳え立つは、全てを満たす黒骸の君。一度輪転せしむれば、日輪の輝きを解き放つ。英雄の唸りは月煌の一閃となって、彼方へと届いて深く在らん」
祝詞は謳われ、クリシュニは両手を大きく、回して構え、天より迫る怨敵に狙いを定める。
「〝至斬〟――〝臨天断劾巨廻刃掌〟ぉお!!!」
一蹴と両掌打。ぶつかり合い、一帯が吹き飛んだ。




