表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/143

3節 赤恥を忌み嫌い、腹黒く、白々しくあれ6

 腕と聖杯を取り戻し、元気100倍と言わんばかりにセイマリアのやる気は最好調に達する。


『背後から熱源! 炎来る!』

「ちィ!!」


 背後を確かめると同時にすかさず飛び退く。一直線に走るは炎の一閃にして激流。赤炎が周囲一帯を苛烈に照らす中、黒い影が過ぎる。


『上から来るぞ! 気を付けろ!!』

「っっっ!!」


 声に従い、見上げるは巨大な影。


(真上から飛び掛かる! 多分振り落として来る!! 横に逃げるか!? いや、最初の斬り上げみたいに妙なフェイントが混じるか!? 下手に釣られて無防備を晒せば確実に両断(2つに)される!!! 振り下ろし!? フェイント!? どっちだ!?!?)


 走馬灯の如き一瞬の思考が回避を迷わせる。どう足掻こうと、回避する選択肢しか存在しないのに、回避の仕方(・・・・・)に意識を奪われる。体感ゆっくりと迫る大刃と、そこから放たれる熱気が、肌と髪と服と装甲を瞬時に燻す。


(熱い! 料理してる時の直火がぬるく感じる!! さっきの鉄骨が溶けたんだ、刃の横から武器をぶつけて逸らすのは無理がある! 良くて少しだけ、どうする――)


「アナ! 向こうの手の位置何処だ!?」

『え!? ――視界に出す!!』


 瞬時に映し出される手のアイコン。セイマリアは上に向けて手を伸ばす様、鉄骨を放った。


「持ち手まで(・・)は熱くないだろ!?」


 出された鉄骨は勢い良く飛び出して、赤騎士の手首にぶつかり斬撃を未然に防ぐ。


「なっ!?」

「どっっっっっっ――せい!!!」


 鉄骨を伝って両手に加わる超重量。堪らず腰が沈んで曇った声が漏れる。が、歯を噛み締めて踏ん張り、下から救う様に彼方へと投げ飛ばす。更にオマケに爆弾をありったけ取り出して投げ付ける。


「しぃぃぃいいい!!」


 それに対してレッドライダーは、悪態を付きつつ背部から炎を噴射。瞬時に爆弾の弾幕を突破し、セイマリアの目前まで迫って剣で薙ぐ。聖は斬撃をロザリオフィールドを展開して炎を斬撃をいなす。


 物理攻撃を未然に防ぐも、残る残熱が肌も焼く。


「ッ――――!!!! 舐めるな! 熱いのは慣れてるんだ(りょうりやってんだぞ)!!?」


 ガスコンロの熱気と比較して己を鼓舞し強行突破。拳を振り抜き、赤騎士の顔面に叩き込む。が、喰らった赤騎士は怯まず睨み付け、右手に身体を掴まれる。


「――だったら! 何℃(どこ)まで平気か試してあげるわよ!!」

(日本語!?)

『バイリンガールだったか!』


 掴んだ手から火焔が放たれ、聖女の装甲と身体を直焼いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ