3節 赤恥を忌み嫌い、腹黒く、白々しくあれ4
「その手のが聖杯ね?」
赤騎士は呟く。周囲の赤熱光で照らされるその顔は険相だった。鋭い目付きで聖を睨み付け、恐ろしさの余り、聖は目線を下げてしまい、大剣に目を向けた。
『デッッッッッッッッッッッッカ』
「ああ、デケぇ……何だよ、あの馬鹿デカい剣」
『いや胸が』
「胸!?」
『向こうとの距離をざっと測ると、あのギアマリアの身長はヒール込みで150cm程。素の身長なら140cm台だ。それなのに、胸は片房だけでも頭と同じサイズ。カップ数で言うなら聖と同格だ。圧倒的に揺ぎ無きトランジスグラマー。いや、少し童顔だからロリ巨乳――――いや、ロリ爆乳か……?』
「そのよう……――ねっ!」
セイマリアの手荷物を確認すると同時に、赤騎士は巨大剣を振り上げる。振り下ろされて描かれた弧の形状に沿った炎の斬撃が放たれた。
「火ぃぃぃいいい!?」
暗所に慣れた眼に映ったのは、強烈な閃光。一瞬怯むも、迫る熱気と衝撃で我に返り、すかさず横に呼び込んで回避。起き上がると、大剣を横に構えた赤騎士が目前まで急接近していた。
(早い!?)
直後じゃ動けない――セイマリアは盾を構えて攻撃に備えると、赤騎士は突然停止。剣を抱える様に垂直に持って屈んでいた。
「え?」
「ふんっ!」
赤騎士は、床を抉りながら大剣を斬り上げた。




