3節 赤恥を忌み嫌い、腹黒く、白々しくあれ3
エルデントロコン
無我夢中で聖は走り続けた。遮る壁や瓦礫といった障害物は爆破して強硬突破する。
「はぁ……はぁ……――コレか?」
『ああ。間違いない。……アレがプランターだ』
やがて辿り着いたのは開けた無機質な空間。部屋の中心部には天井と床から伸びる謎の装置の中に、植木鉢が漂う様に光りながら浮かんでいた。
「……触って平気か?」
『エネルギーは発生しているが、熱量の類は見受けられん……』
「ええい!」
『ままよ!』
意を決して手を伸ばし、聖杯を掴み取って引き抜く。しかして異変の類は起こらず、堪らず呆けて立ち尽くす。
「……――お、おうふ……大丈夫か……?」
『その様だな。なら、善は急げだ。急いでこの場を――』
背後で突如爆発が起こる。アナは言葉を遮られ、聖は思わず萎縮して仔猫の如く猫背になる。
「――やってくれるじゃない。こっちが外であくせくやってるのに、自分はひっそり出し抜けようって?」
「英語……?」
恐る恐る振り返ると、赤熱化する周囲の真ん中で悠々と歩く、幅広の大剣を片手で持った骨太な少女――ギアマリアがそこにいた。服装は赤黒の軍服めいたワンピースに機械的な装甲を上から纏い、赤と金のグラデーションがかったツインテール。特に目を引くのは、自身の身の丈以上はあろう巨大な剣を片手で握っていた。
『データ参照。イザベルの四騎士の1人、赤騎士だ」
「マジかよ……!」




