変わらぬ日常
何故 借りているか?そういう顔をしているな……。いいだろう教えてやる…それは お前を探し………そして…… 殺す為だ!!!」
ユリアが そういうと いきなり剣をイリス目掛けて 鼻近くギリギリで止める。 その瞬間 イリスとユリア二人に風がなびく。 だがイリスは目線を外さなかった。本気とは思わなかったからだ。
ユリア「…ほぅ……見抜いていたか…その勇気に免じて もう1つ教えといてやる…。私は お前に恨みはないが お前の祖先に恨みがある。 それと お前は のちに大きな戦いに巻き込まれる事になる…。せいぜい強くなってくれ…そして二千年の戦いにピリオードを打つ…イリス…私を憎め…そして もっと強くなる事を楽しみにしているぞ………」
ユリアは そう言い残すと剣を下ろし その場を去っていった。
イリスはユリアと名乗る女性が姿を消した所を見つめる。 そして…つぶやく…。
イリス「今日は…なんか疲れたな…。」
イリスは青空へと顔を上げていく…。そして 手のひらを太陽に向け つぶやくのだった。
イリス“朝がきて 昼がきて 夜がきて また朝になる。春がきて夏がきて秋がきて寒い冬がくる…。そしてまた春になる。季節と日は毎日過ぎていくのに 私の時は 止まったまま…。それは何でだと考えた時…その答えは私の中にある戦争という名の争いのせいだと確信する。そう…私は あの日に全てを失った…。
12年前のあの日には…もう戻れないのだ。”
イリスは 深呼吸をした後 母親の墓前で手を合わせる
イリス「じゃあ…母さん また来るよ……」
そしてイリスは自分の家へと帰るのであった。
イリスの家はシーガイア王宮より少し丘にのぼった所にある。イリスの家からは海が見渡せ また風が よく通る
リビングにある椅子に腰かけ窓を見る。さっきまで青空だった空は オレンジ色に染まっていた。そして心地よい風がイリスの髪、頬をかすめる。イリスはハーブティーを飲みながら 外に視線を向ける。イリスの脳裏にはユリアの言った言葉が よぎっていた…。
ユリア“イリス…私を憎め…そして 強くなれ!”
イリス「いきなり現れて…憎めとか…祖先に恨みがあるとか 意味不明なんだよ…オバサン…。」イリスは ふと思い立ったかのように台所へ立つ。今日のメニューは魚がメインのようだ…。
無言で調理をする事 30分…。
魚のカルパッチョが完成する。
魚のカルパッチョは幼きイリスに母イースが よく作ってくれていた料理の1つだ。
今日も食事が終われば イリスの1日は 終わる…。
イリス「…ごちそうさま…。さて お風呂に入って寝るか…」
イリスの家のお風呂は木で作られた浴槽。 湯をはった浴槽にシーソルト(要はミネラルたっぷりの塩)を入れて入る。 塩が肌を潤わせ 同時に疲れもとる すぐれものだ。 湯に入りながら イリスは ポツリつぶやく。
イリス「また…起きたら 退屈な1日が また始まる…。 世の中の人間には楽しそうでも私には つまらなく生きた心地がしない1日…。どうすれば…他の人みたいに楽しく生きられるのだろうか……。…どうやったら私の心は解放されるんだろうか……。自分がイヤになる。」
お風呂から出てイリスはネグリジェに身を包み 布団に身を委ねる。
“その夜…イリスは夢を見る。それは思い出したくもない あの日の夢…。イリスという少女を変えてしまった あの惨劇……あの時の幼きイリスは ただ…ただ泣くしかなかったのだ……。”