二正義:迷子の正義の味方
高等部の校舎に到着した、亜美は中等部だから隣の校舎だ。あいつは既に学校に到着しているに違いない。
それにしても、誰もいないな。
まあ当然か、入学式の最中なのだから、初等部も中等部も高等部も生徒は全員それぞれの校舎の体育館にいるのだ、学校の説明は…省こう、想像に任せる。
初日からこの調子では先が思いやられるな。
「そういや俺、誰と同じクラスだろ?」
どうせ遅刻なのだ、こうなればとことんゆっくりしてやる。
俺は入学生のクラス分けが書かれた張り紙を見に行くことにした。
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「うわ~、またタケシと卓郎と同じクラスかよ、勘弁してくれよ。っていうか新入生多いな?いや、転入生と言うべきか?」
クラス分けの書かれた紙の前で独り言を呟く。
中学時代からの知り合いがほとんどだが、知らない名前も多い。
五、六人と言ったところか。
何故、編入生がいるのかと言うと、
ヒーローの才能がある人間でも、能力が現れる年齢は人それぞれだからだ。
俺みたいに小さい頃から能力が使えるようになる人間もいるし、遅い場合には四十代のオッサンが突然、能力を使えるようになる場合もある。
その場合、オッサンはそのままヒーローに就職できるとのこと。
もちろん、死ぬまで能力が現れない人間もいる。
むしろ、それがほとんどのケースだ、能力を持っている人間は少ないからな。
ちなみに、一概に能力と言っても種類があり、
自分、もしくは他人の体に特定の能力を付加させる、
『補助系』
目や鼻、腕や足などの体の一部分のみを強化する、
『部分強化系』
炎や雷、ビーム、バリアやシールドを作り出し、操る、
『攻防系』
巨大化、変身が出来る、
『変身系』
これらの分類に入らない、
『特殊系』
の五つに分かれている。
能力次第では軍隊すら圧倒するほどで、
非常に危険であると同時に、手に入ればこれ以上強力な武器は無いだろう。
だからこそ、国は強力なヒーローを一人でも多く所有し、管理しようとにしているのだ。
そのために創られたのがこの学校、ヒーロー学園である。
「入学式とかサボりたいけど、行くしかないかな…」
俺はそのまま体育館に向かった。
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ガラガラガラガラガラガラ
体育館のドアを開け、中へ入ると、校長の話の途中だった。
二百名程度の生徒全員が一斉にこちらを振り返る。
その生徒の中にタケシ、俺の幼馴染の姿を見つけた。
タケシが俺を見て、ニヤニヤしながら小さく手を振ってきたので、こちらも軽く手を振る。そんなことをしていると――――
「コラァァァァァァァ!入学式から遅刻とはどういう事だぁ!?」
怒鳴り声の方向へと目を向けると、やはりというべきか、校長だった。
「すみません、寝坊してしまっ…」
「君は正義のヒーローとしてこの国の未来を守る人間だという自覚は無いのかねっ!?君みたいにルールを守らない奴から落ちこぼれていくんだ!ええ!?聞いているのか!?入学初日からそのような様子ではーー」
ガラガラガラガラガラガラガラ…
体育館からでて、ドアを閉めて、校門へと向かう。
俺はそのまま学校を出て、悪屋へと向かった。
「全身タイツの件、どうしたもんか…」
俺の後ろ姿を見ている者の存在に気付かないまま…
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「ホント、どうしたもんか…」
俺は悪屋に向かう途中に、悪の組織らしき集団が五人組のヒーローと戦っているところに遭遇した。
周囲には人だかりができ、携帯で写真を撮っているような奴もいる。
通行の妨げになっているので、早くどいて欲しかった。
…などと思っているうちに、ヒーローと戦っていた戦闘員が全員倒され、今度は怪人との戦いが始まる。どうやらヒーロー側は五対一だというのに劣勢のようだ、これは時間がかかりそうだ。
(路地裏から行くか。)
俺は路地裏の方へと向かう。
後方から声が聞こえる。
「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒッ!まさか俺様がここまで追い詰められるとはな!さすが正義の味方と言ったところか!?」
「おのれっ!怪人めっ!俺たちがやっつけてやるっ!」
「ゲヒヒヒヒッ!まさか奥の手を使う事になるとはなっ!」
「なんだとっ!?」
怪人が巨大化を始め、周囲の野次馬も悲鳴(笑)を上げ始める。
「こうなったら俺たちも巨大ロボットに乗り込むぞっ!」
赤い全身タイツが叫ぶ。
最初から使えよ、
ってか町中で巨大ロボットに乗って暴れまわってんじゃねえよ、
お前らのせいで周囲の家が壊れまくってんだよ、
デカけりゃいいってもんじゃねえぞ
と、心の中で呟き、細い路地裏に入っていく。
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路地裏は思っていたよりも入り組んだ作りになっており、まるで迷路のようだ。
狭いし薄暗いし、迷子になりそうな気がしてきた。
悪屋の方向に大体の見当をつけて歩き始める。
十分ほど歩いたところで、行き止まりにあった。
うん、やっぱりな。
「道、分からねえ…」
気づけば迷子になっていた
キャラ紹介なう
赤松亜美
主人公の妹。
パンツの色は白