悪の組織の秘密の会合
ガキ使を観ながら書きました。
シリアス回なので凄く短め。
本日は二話連続投稿なので、お気に入り登録の方は先に前の話をどうぞ。
街の喧騒から遠く離れた、薄暗い路地裏。
入り組んだ造りのこの路地裏は、人通りが皆無であり、仮に誰か通るとしても、同業者であることが殆どだ。
それ故に、しばしば悪の組織の裏取引の場所として利用されている。
そして、その例に漏れず、三つの影が秘密の会合を開いていた。
「ククク……遂にこの計画も、明日、始まる」
「ああ、黒内のヤツ。俺たちの言う事に素直に従っておけば良かったものを」
「裏社会の頂点として、プライドでも有ったのでしょう。お陰でこんなに大掛かりな計画を立てるハメになりましたよ」
彼らは皆、黒い衣服に身を包んでおり、その姿を窺うことは難しい。
だが、交わされる会話の内容から、穏やかな話でないことは明らかだ。
「しかし、ヒーロー学園か……子供のヒーローは皆、あの学園に通うらしいな」
「へっ。俺ならあんなトコ、絶対に通いたくないね。反吐が出る」
「まあ、あの学園の生徒は不運ですね。あの娘……黒内美香が、入学さえしなければ、私達に狙われることも無かったでしょうに」
口元に手を当て、ククッと含み笑いを漏らす男。
「それで?計画の準備は順調なのか?」
「ああ。最近できた情報屋……悪屋とか言ったか?馬鹿みたいな名前だが、アレのお陰で順調だ。問題ねえよ」
「ふむ、他の組織にこの計画の事を?情報漏洩の心配は無いのですか?」
そう尋ねる割には、男からは焦りや不安といった感情は感じ取れない。
その事に気づいていながらも、粗雑な口調の男は言い返す。
「ああ?大丈夫だろ、仮にバレたとしてもよ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、男は言葉を紡ぐ。
「向かってくる奴ら、全員叩きつぶせば済む話だろうが」
「しかし、用心は必要です。今回の相手は今までとは格が違う。だって……」
男は一度、そこで言葉を切って、タバコを一服。
闇夜を照らす月光に向かって煙を吐き出しながら。
「我々と同じ、ヒーローなのだから」
その言葉に、リーダー格の男は相槌を打ってから、呟く。
「確かに、お前の言う通りだ。気を引き締める必要がある」
だが、と前置きして男は言葉を紡いだ。
「ヒーロー学園生徒の抹殺は、飽くまで囮。目的を忘れるな。我々の目的は――」
黒内美香の誘拐だ。




