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一平和:怪人と正義の味方

お知らせ:美香視点

「フハハハハハハ!この町を侵略してやるぞ!」


「おのれ怪人ドンゴメス!貴様の野望を打ち砕いてやる!」


「出たな『穀潰し戦隊ゴクレンジャー』!今月こそ返り討ちにしてくれる!」


「べ、べべべ、別に穀潰しじゃねーし!月に一度しか出勤しないだけだし!」



(意外と仲良いのか?この怪人と正義のヒーロー…)


暇を潰そうと用事もなく街にやってきた私は、日常茶飯事的に行われる悪の組織と正義の味方の戦いを観戦していた。

そんな光景は見慣れてしまっているとばかりに通行人はそれを素通りするばかりで、私の様に観戦している者はごく少数だ。

悪の組織の活躍を無視されているようで、なんとなく寂しく感じる反面、小さい子供が熱心に正義の味方を応援する姿が視界に映り、思わず微笑みを浮かべてしまうのはどうしてだろう。


「待て待て待てーい!」


その時、修築中のコンビニの屋根の上から何者かの声が響き、思わず見上げると、そこにはお面を着けた少女が立っていた。


(あれって、学園うちの中等部の制服?)


「街の平和を脅かし、極悪非道の限りを悪党どもめっ!穀潰し共に代わって私が成敗してくれよう!」


「え!?」


穀潰しが素っ頓狂な声を上げる。どうやら彼女の乱入は穀潰しにとっても予想外だったらしい。

そんな穀潰しの反応を意にも介さず、少女は続ける。


「私が誰かって?フフフ…私に勝ったら教えてやるよ!とうっ!」


聞いてもいないことを答えながら少女は屋根から飛び降り、地面に降り立った瞬間…怪人に向かって弾丸の如く飛び掛かっていた。


「グハッ!?」


少女のキックが怪人の腹に突き刺さり、怪人がうめき声を上げる。


(速い…!?)


私のヒーローとなって強化された動体視力を持ってしても、彼女の動きを完全に捉えることは出来なかった。彼女の動きが速すぎるのだ。


「フッフッフ、遅い遅い、ノロマすぎてお話にならないね、さっさと私の正義のの餌食となってしまうがいい!」


言うが早いか、彼女は怪人の股間に鋭い蹴り・・を…!


(拳関係ない!?)


蹴りの衝撃で一瞬、怪人の体が浮いて、怪人は苦悶の表情を浮かべながら膝から崩れ落ちる。


「うおあああ…」


悲痛なうめき声を上げながら怪人が倒れると、慌てて駆け寄ってきた戦闘員たちに抱えられて、そのままどこかへ去っていた。


「ハッハッハッ!圧倒的ではないか私の新技『二十倍速全力金的』!これを見切れる男子なんてタケシさんぐらいのもの。そしてこれを食らっても平気でいられる男子は卓郎さんぐらいのものだよ!」


通行人も…穀潰しも…私でさえ言葉を失う中、お面の少女は怪人の姿が見えなくなるまで見届けると、踵を返して路地裏に向かって走り去って行った。


「ニャーン」

「にゃんなのよあの子?…にゃーん?」


その時、視線を下げると、足元に一匹の黒い子猫が座っていた。

首輪が付いていないことから察するに、きっと野良猫だろう。


「ニャーン」


再び鳴き声をあげて、私の脚に体を擦りつける。

黒い体毛が私の肌を撫でて、少しくすぐったい。


「どうしたの?」


その場に座り込んでそっと頭を撫でてやると、子猫は気持ちよさそうに目を閉じて喉を鳴らす。

しかし、子猫の可愛らしさに癒されたのも束の間。


「あっ」


子猫は私から体を離して、路地裏へと走って行き、あっという間に暗がりの中へと姿を消した。

気づけば私の足は子猫を追いかけようと走り出していた。


・美香が『あっ』と言うのと

・『あっという間に』をかけた

・高度なギャ…グ………ごめんなさい


結局、子猫は見つからずに、気づけば迷子になっていた。

迷路のような路地裏をかれこれ数十分は歩いている筈なのだが、一向に出口が見つからない。


「どうしよう…」


迷子になるなんて生まれて初めての経験だ。

どうすればいいのか全く分からず、不安と恐怖が胸の中を埋め尽くす。

仮にも高校生が迷子になるなんて、みっともない事この上ない話だ。

泣きたい気持ちを押し込めようと、俯くと、


「あれ?どうかしましたか?」


前方から声が聞こえ、顔を上げれば、さっきのお面の少女が立っていた。


「え?えっと…」

「迷子ですね?分かります分かりますよ。この路地裏、聞いていた以上に複雑な構造になっていますからね。迷子になっても仕方ありません。かくいう私も実は迷子です」


そう言って少女はお面を外し、顔を見せた。


「初めまして、兄のバイト代でついに念願のケータイをゲットした、赤松亜美です。お姉さんの名前は何ですか?」


少女はそう問いかけながら、私の顔を覗き込むように首を傾げた。

お姉さんと呼ばれるのはなんだか新鮮な感じがする。

この少女とは初対面だが、名前を教えても特に問題は無いだろうと思い、名乗る。


「私の名前は黒内美香です。つい昨日ヒーロー学園に入学したばかりの、高校一年生です」

キャラ紹介ナウ


篠川美鈴


人体改造担当の科学者



ドンゴメス


トカゲみたいな怪人。

緑色の鱗と尻尾がある。

口から火炎放射を吐き出し、巨大化も可能。

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