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十一悪:抜けない全身タイツ

失敗だというのは語弊かもしれない。

少なくとも葵にとってその質問は聞かれたくないものだと知る事ができたのだから、ある意味成功だと言えるのだろう。

四姉妹ですか?と尋ねられてここまで動揺することも珍しい。

俺の能力上、観察能力に関して誰にも引けは取らない自身がある。


(やっぱり何かあるな…)


ただし、その動揺の方向性が予想とは違ったことが俺を困惑させた。


・予想


「秘密を知られたからには、生かしておくワケにはいかないな。死んでもらう」


そう言ってヤツはコートの内ポケットから拳銃を取り出し、俺に銃口を向けた。

冗談でも何でも無く、ヤツが本気で俺を殺す気なのだと理解せざるを得ない。


逃げなければ


しかし、俺の脚はガタガタと震えるばかりで、動こうとはしない。

あまりの恐怖で身動きが取れない。


命乞い


そう思ってヤツに視線を向ければ、目があった。


空虚


ヤツは何も感じていない。何も考えていない。何も無い。人間に銃口を向けてなお、ヤツは殺気すら発さない。

あるのは、俺を殺すという意思だけだ。

命乞いは無意味だと嫌でも悟らされる。

ヤツはこれまで多くの人間を殺してきたのだ。

もはや、人を殺すことに何も感じないのだろう。

人を殺すことに慣れているのだ。

俺は自分の死を確信した。俺の人生はここで終わるのだ。


ヤツは無慈悲に、無関心に、無表情に…


引き金を引いた


・現実


という雰囲気では無い。

どちらかと言えば…


・例え


「おかーさーん」

「ジェシカ!もう!死ぬほど心配したんだからねっ!?もう二度と、お母さんとはぐれちゃだめよっ!?」

「はーい」


・現実


みたいな感じだ。

迷子のジェシカちゃん(三歳)が見つかったという、迷子センターのアナウンスを受けたジェシカちゃんのお母さんであるジェニファーさん(二十四歳)がしていそうな期待に満ちた表情だ。

この反応は予想していなかったな…どう対処すればいいのかわからない。


「何故、そう思うんですか?私たちが四人姉妹だなんて…」


恐る恐る、と言った様子で葵が尋ねる。

どんな答えが正解なのか全くわからんが、俺は出来るだけ平静を装って、最初から用意しておいた答えを返す。


「実は、先ほど可愛い女の子が街の通りを歩いているのを見かけましてね。その時は『可愛い子だな~』としか思ってなかったんです。だけど、悪の組織ココに来て、葵さんに会った時に、その子が葵さんとよく似ていると思ったんですよ。だから、もしかして葵さんの妹かな~?と…」


嘘は言っていない。間違いなく、美香は現在、家を離れて街道を歩いている途中だからだ。そして、その姿を俺が目視しているというのもまた事実。肉眼で視認しているわけでは無いが、確かに見かけている・・・・・・


「おいまてやコラ!?」


その時、葵の服の中からカジキがヒョッコリと顏を出し、俺の話を遮った。

…っていうか羨ましい。ちょっとその場所代われ。


「お前の言ってる事、ホンマやろうな!?嘘やったら曲げるぞっ!?」

「何を!?」

「千里さん!その話、詳しく聞かせてくださいっ!」


葵が身を乗り出して、吐息が掛かりそうなほど顔を近づけてくる。


「え?ちょっと!?」


想定外の行動を取られ、俺はとにかく葵から距離を取ろうと体重を後方へと傾けた。ソファーに俺の体重がかかった瞬間、背中からバキッと何かが割れるような音が響く。先ほどの騒動の影響だろう。どうやらソファーは壊れかけていたらしい。そこに俺の体重が突然かかり、衝撃に耐え切れず、背もたれが壊れたのだ。


バランスを失った俺の体は重力に任せてそのまま後ろへ倒れ込んでいく。

その中で、葵が俺の腕を掴もうと手を伸ばしているのが見えた。

思わず俺も手を伸ばし、葵の腕を掴む。しかし、二メートルの巨大カジキをいとも簡単に振り回していた剛腕は、どういう訳かこの時には力を発揮せず、俺の体を支えることなく葵の体も一緒に倒れこんできた。

俺はそっと目を閉じて、この先の運命を天に任せた。



一階の研究室では、明の引き抜き作業がまだ続いていた。

引いても押しても叩いても回しても殴っても蹴っても、一向に明は壁から抜けないのだ。


「っていうか抜く気無いだろあんたら!?何だよ!?回す、殴る、蹴るって!?」

「いや、壁から足が生えてるとか気持ち悪いなー、とか思ったから。なんとなく」

「なんとなくで蹴るのっ!?布山さん、そんなキャラだったの!?」

「安心しろアルファ。いざと言うときは爆弾で壁を吹き飛ばせばいい」

「それ確実に俺も一緒に吹き飛んでますよっ!?壁ごと木端微塵だよ!」

「…鬱陶しい」

「篠川さんが一番ヒドイっ!?おとなしいキャラかと思ったら意外と容赦ないなこの人っ!?」


作業は困難を極め、自然と明を引き抜くのではなく、壁を壊そうという案に落ち着いた。

ラッキースケベってどこからがR15?

(TOL〇VEる)でやってるぐらいならセーフですかね?

取り敢えず、胸を揉むのはセーフですか?アウトですか?

誰か教えてください。

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