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死の群像  作者: 島田 黒介
死の群像 第三章
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第三章―2

最中だというのに声も上げない、微動だにしない。


ただ彼女は人形のように突かれる衝撃で前後に揺れるだけであった。


彼女はひたすらに、果ての無い無気力と共に真っ白な天井を見つめていた。


時々視界に邪魔な男の影がちらつくだけで、その時間は普段と何ら変わりが無かった。


普段と何ら変わらず、不愉快だった。彼女はいつだって不愉快で、不機嫌であった。


だからといって、その苛立ちから逃げるために酒や薬に逃げたわけではない。


彼女は、常に自分がどの程度の人間なのかを思い知りたかった。


自分の自己嫌悪や、自分を責めるといった行動は、どうしようもない性癖であって、とても歪んだ、畸形じみた心を持っていて、では世の中で社会的に何らかの欠陥がある人間が差別を受けているというのならば、自身も被差別の対象であると、とてもとても下賤の人間であると。


女であることが唯一それを避ける手立てであったと思うのだが、彼女にとってそれこそ、反吐が出るほどたまらない行為であった。


だからがゆえに、薬に浸されて病院に運ばれゲロまみれになったり、酒に飲まれて下世話な男に犯されたりするような生活を自ら進んで営んでいた。


健全な精神は健全な肉体に宿るというが、彼女は不健全な精神に見合うように不健全な肉体造りに励んでいるというわけだ。



 彼女の頭の中で三百七十一匹めの羊が柵を飛び越えたところで、男の身体は小刻みに震え、彼女の上に倒れこむ。


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