烏と鴉~甘い朝~
八咫烏は私の姉さんで、私はまだまだ幼くていろいろな事を知らない、そんな私にとって八咫
烏はとても尊敬出来る大人の烏なのだ。
「春だね・・・小烏・・・」先に起きたのは八咫烏だった。
「うーん・・・おはよう・・・」まだ眠たそうに眼を擦り、小烏はゆっくりと身体を起こす。
目の前には八咫烏がいた。手を後ろで組み、静かに外を見ている。
「何を見てるの?」小烏が気になって問いかけると、八咫烏は「桜が咲き始めてる・・・」と呟いた。
「桜・・・桜っ!?」
小さな彼女にとって桜は珍しいのか、布団から飛び起きてうきうきさせながら窓の外を見た。
「わぁ…本当だっ!」
無邪気にはしゃぎながら目を輝かせる小烏、そんな彼女を八咫烏は自分の子供のように見ていた。
「早く咲かないかなぁ・・・」
小烏はずっと桜の芽を見つめている。
八咫烏は、そっと小烏の後ろに回り、彼女の肩に手を掛けて「後・・・2,3日くらいかな」と小さく笑い、さりげなく抱きしめた。
「温かい・・・」
小烏の頬がピンクに染まる。彼女は八咫烏に抱かれ、心から幸せだと思った。
「小烏の頬・・・桜の花みたい・・・」ともっと強く抱きしめる。
八咫烏の頬もピンク色に染まっていた。
しばらくたって・・・
「でも・・・どうしていきなり抱きしめたの?」
温かさでうとうとしている小烏が不思議そうに聞くと、八咫烏は顔を真っ赤にさせ、聞こえるか聞こえないくらいの声を出し、小烏の耳元で「貴女の事が好きだから」と抱きしめていた手を解いた。
突然の告白に驚いた小烏であったが、その言葉を素直に受け止め、私も、と笑い上目遣いをする。
その瞳はただ八咫烏を見ていて、その胸は熱く、いままで無いくらいにドキドキしていた。
姉としてみてるのか、それとも恋人・・・
同じく抱いていた八咫烏もドキドキしていていた。
我が子と見ているのか、恋人か・・・
確かに分かるのは互いに特別な感情を持っているという事だ。
「私も八咫烏みたいに・・・立派になれるかな」
窓の方に向き直し、小烏は窓を開けた。
冷たい風が入り込み、春といってもまだ新春・・・水に氷が張っていて、おそらく蛙もまだ冬眠している頃だろう。
でも、太陽は優しく、いつものように陽気で・・・
「私があの青空を大人になって飛べる日が来るのはいつだろう」
一歩外に出て大きな青空を見上げ、雲の動きを目で追っている。
八咫烏も一歩外に出て、一緒に見上げた。
「きっとすぐだから・・・その時は一緒に飛ぼうね・・・」と小烏の小指を握り約束をした。
「うんっ!私頑張るから!」
小烏の大きな声が響く・・・それは太陽に負けないくらい大きく、明るい声だった。
どうやら擬人化系ほのぼのが好きなようです…短編しか書かないのかなぁ私…少し編集(うーん・・・