第4話
まだやれるかとはあるか?
もう遅すぎるか?
「日和…」
「なに?」
僕の言葉を逃さないようにと、日和は真剣な顔をしてる。
真剣な顔も可愛いな…
「僕、は もう…いなくな、るんだ」
日和は涙を流しながら「そんなこと絶対ない!」とかすれた声で叫んでる。
僕は医者に言われた通りのことをすべて話した。
そして、日和に出会えて嬉しかったことも。
日和はただひたすらに泣いた。
その声を聞いていると僕まで涙が零れ落ちた。
本当にこれで終わってもいいのか
本当にこれが日和との最後でいいのか
僕の人生がこれで終わってしまうならせめて何か最後に言うことはないのか
たくさんのことが頭に巡った。
「日和…」
気づいたら口が勝手に動いてた。
「僕の分まで…生きてほし、いとは言わない…けどっ
精一杯生きて、ほしい…。
好き、だよ…日和っ…」
最初で最後の好きを日和に伝えることが出来てよかった。
「最後く、らい…笑って」
日和は泣きじゃくっているのに無理矢理笑おうとして変な顔。
僕がそれで少し笑うと、日和も少しだけ笑った。
そう、僕はこれを見ていたかったんだ。
満たされた心。
でも、少し寂しい。
僕はとうとう必死でかき集めていた意識を手放した。
その時、日和の泣きながら叫んでいる声が聞こえた。
その言葉を聞いた僕の最後は笑っていたに違いない。
「私も…私も好きだよっ」




