第2話
あれから日和とは図書館でよく会うようになった。
僕を不登校だと知っているということは同じ学校なのかもしれない。
午後4時くらいに日和はいつも飽きずに図書館に来る。
決まって僕の前の席に座り、一緒に勉強したり、話したりする。
それが日課だった
知らないうちに日和は僕のそばにいた
午後4時を過ぎても日和は来ない。
どうしたのだろう?
心配している自分がいることに気づいた。
僕は頭を乱暴に振って、勉強を続けた。
「ごめんごめーん。寂しかった?」
午後5時頃、日和が申し訳なさそうな顔をしながらも笑顔だった。
少し安心した。
「別に寂しくなんてない」
「寂しかったくせに」
日和は優しい顔をしながらそう言って、いつも通り僕の前の席に座った。
寂しくなんてない、って少し不機嫌な僕がいた。
日和のそばにいるとどうも調子が狂うな。
あれからずいぶん経ったある日のことだった。
「海に行きたいな」
たしか日和のそんな言葉で始まったんだと思う。
未来に何が起こるかなんてわかるはずもなく、僕は「いいよ」と返事していた。
この時の判断が正しかったのか、そうでなかったのか
今でも僕にはよくわからない。
あれは海に行かなくても、起きたことなのかもしれない。
必ず通る運命だったのかもしれない。
ただ今の僕が言えることは
あの時
もう少し
そばにいたかった
もう少し
素直になればよかった
もう少し早く
自分の心に気づいて
あなたのそばで少しでも長く過ごしたかった
僕は後悔しているのかもしれませんね
こんな僕にも後悔できることがあるんだね




