非日常ノ世界
暗く深い日常世界を抜けると、そこにあったのはおどろおどろしい音楽の世界でした。
列車の窓から見える景色と、自由自在なメロディラインが、僕の骨の随まで衝撃を伝えます。
僕は葛藤と共に自問自答を繰り返し、細胞の奥の奥までを全身全霊で稼働させながら、ただ壊れたように頭を振っていました。
愛を唄い続けるその歯車が狂っても尚、より一層僕を運ぶ列車は汽笛の轟音を鳴らし、とめどなく車輪を回し続けています。
空白を埋めるように席に座るその亡霊達は、僕の同調圧力に対すル柔らかい部分を厭らしく突いて、頭を振ることを強要もしていないのに、それを正義だと自然に擦り込ませるこトがお上手。
僕はその流れに身を任せてイれば、全部幸福です。簡単です。それダけの事です。
僕は脳がシェイクされるこの感覚を、ただ生キているこトによル贈り物として、受け取っていれバいいの
です。
何ト簡単ンだ。
それダけで、イイノ。
イイノ、イイノ。
頭が狂っテいル状態が頭り前になルと、それハもはや狂っテなド無い。
貴方コソが、正シイ。貴方は世界の全テです。
全能感は、本当ノ善脳です。
身ヲ任せマショウウ。
魔女の末っ子です。貴方ハ。
何でモ思い通リにこの音楽ヲ取り入れテテ、
そして行末は、本当の魔女ニなっテくださイ。
全部ヲ、壊シタ、末ニ、バラードを謳ッテ、
極めテ崇高ナ讃美歌とすれレバイイデハは、あリマまセせんんンン、
カかかかカかかかかーーーーーか
混迷の中で、僕は音楽に興じる。
亡霊がダンス、ダンス、ダンスして、
僕を苦しメてててて、
それがとってモ、
ああ…
列車がまた、汽笛を鳴らした。
汽笛。汽笛は、何だっけ。
あ、そうか。
@帰宅
帰らないと。
ごめんね、帰るね。
何デ!何デ。何デ!何デ!
コンナニ、
愛シテイルノニ…
うるさい。
バーーーカ!!
ギャァァァァァァァァァ…
錯乱した亡霊達が目の下を引き千切って、潰れたトマトみたいにグチャグチャと血飛沫のシャワーが四方八方から浴びせられて、生臭い匂いの中、赤く光るその血液を、全身から浴びた僕はーー
決意の漲る顔でただ一人仁王立ちしていました。
I'll never let you,
you,
go,go,go,go,……
亡霊達の最期の合唱に、僕は耳を傾けながら、
目を瞑り、合掌。
先達の霊よ
霊よ
どうして貴方様は
それ程までに、
僕に執着するのですか
決まっているでしょう。
愛しているからです。
今僕を運んでいた列車は無くなって、
今あるのは、孤独、蠱毒の駅だけでした。




