優しいおじさん
小学校に行く途中、いつもの公園にゴミ拾いのおじさんがいました。
私は頭を下げて大きな声で挨拶しました。
「こんにちは!」
「やあ、こんにちは。ゴミはあるかい。代わりに捨てておくよ」
「ゴミは持ってない!」
「そうかい。ならよかった。困ったことがあれば、おじさんに言うんだよ」
「はーい」
おじさんはとても優しいです。
いつも笑顔で話してくれるし、飴をくれる時もあります。
学校の勉強で分からないところを教えてもらったりもしました。
ある日の帰り道、おじさんは公園に倒れていました。
数人の高校生がおじさんを囲んで蹴っています。
しばらく蹴った後、満足した高校生達は笑いながらいなくなりました。
私は傷だらけのおじさんに近付くと、そっと絆創膏を渡しました。
「おじさん……大丈夫?」
「ああ、平気さ。おじさんのことはいいから、早く帰りなさい」
「でも……」
「絆創膏ありがとうね」
結局、それ以上は話すことなく私は家に帰りました。
一週間後、朝のニュースを観ていた私はびっくりしました。
近所の高校生達が行方不明だというのです。
映し出された顔にはどれも見覚えがありました。
(この人達、昨日おじさんをいじめてた……)
朝食を食べた私は普段通りに学校へ向かいます。
おじさんはいつもの公園にいました。
私はぺこりと頭を下げます。
「お、おはようございます」
「うん、おはよう。今日も良い天気だね」
おじさんは優しい笑顔を見せてくれましたが、何か少し変です。
そばに血だらけのゴミ箱が置いてありました。
人間の髪とか指がはみ出しています。
私は恐る恐る尋ねました。
「おじさん……あれは何?」
「ああ……どうしようもないゴミだよ。これから捨てるところだったんだ」
おじさんは笑顔で答えます。
がたり、とゴミ箱が揺れた瞬間、私は走って逃げ出しました。
それ以来、おじさんと会うことはありませんでした。




